江口のりこの”静かな狂気”がせつない…映画ファンが伏線を考察!『愛に乱暴』に抱いた様々な想い
江口のりこの演技にしびれる!役者たちの怪演にゾッ…
この黒い感情蠢く人間ドラマを表現している俳優たちの演技もまた見事。特にストーリーの中心にいる桃子を演じた江口は、言葉数は多くないものの、さりげない仕草や表情で複雑な胸中を体現しており、「江口さんのために書かれた原作ではないのにぴったりすぎてすごい」(60代〜・女性)など多くの絶賛が寄せられている。
「江口のりこが暴れまくると予想していたが、むしろ静的に怒りが爆発した演技が重要な作品だった」(20代・男性)
「周りに責め立てるように罵声を浴びせる演技かと思ってましたが、思ったよりセリフが少なく、表情やアクションで表現されていたので、より感情が伝わってきてよかったです」(50代・男性)
「江口のりこさんの熱演に感動しました。特に夫の不倫後の演技は素晴らしかった」(50代・男性)
「怒りに満ちていく様が見事で怖かったし、せつなさがありました」(30代・女性)
これらの絶賛の声からもわかるように、不倫が判明後、感情のギアが上がっていく様は圧巻。嬉々とした表情でチェーンソーを振り回したり、それまで穏やかだった語気を強めたりと感情が乱れていく様子を巧みに表現。加えて、背後からまとわりつくようなカメラワークや音の使い方も効果的。桃子が鳥肌を立てる様子や荒くなる息遣いなど、顔は見えなくとも主人公が怒っていることをダイレクトに伝えている。「江口のりこさんがチェンソーへ近づいて匂いを嗅いでいるシーン、すごくシリアスでゾクゾクしました」(30代・女性)など、緊迫感のある演技、撮影に多くの観客が目をくぎづけにさせられたようだ。
その一方で、「小泉孝太郎演ずる夫が想像以上に空っぽな人だった」(50代・女性)などの言葉が並んでいた空虚でクズな不倫夫、真守を小泉孝太郎が怪演。桃子との会話をさっさと終わらせようとする嘘くさい笑顔やボーッとした虚な表情、桃子も呆れるほどのひどい言葉を放つ冷ややかな顔つきなど、ダークな姿は清廉なイメージを持つ小泉だけにインパクト抜群。「踏み込まない両者の演技には脱帽した」(20代・男性)など演技でも夫婦の関係性が表現されている。
また義母の照子も「桃子に寄り添う言動が皆無で不気味だった」(40代・女性)とあるように息子を溺愛し、桃子にさりげなく嫌味な言動をする「うっすら冷たい」(60代〜・女性)姑だ。風吹ジュンがベテランらしい絶妙な塩梅で桃子とのうわべだけの関係性を表しており、「野良猫を追い払うシーン。見せ方がとても上手く、桃子に対してかと思いとてもヒヤヒヤしました」(30代・女性)という一幕での、焦点が定かでない眼差しなど、ふとした違和感で観客の心をざわつかせた。