韓国映画を支えるこの“おじさん俳優”たち知ってる?一度見たら忘れない、いい顔がずらり!
公開中の『ソウルの春』や『ボストン1947』、『憑依』(9月6日公開)、『ランサム 非公式作戦』(9月6日公開)、『犯罪都市 PUNISHMENT』(9月27日公開)と、このところ注目のタイトルが相次いでいる韓国映画。
どの作品もファン・ジョンミンやハ・ジョンウ、カン・ドンウォンにマ・ドンソクといった有名俳優が主演を務めているが、そんな人気者を支える脇役にも名優が勢ぞろい。韓国映画好きなら一度は見たことがあるであろう、“いい顔”のおじさんたちをチェックしていきたい。
強烈なヤクザ役でブレイク、コメディもこなすキム・ソンギュン
1979年の大統領暗殺後の韓国で実際に起こった軍事クーデターを、権力を握ろうとする権力の亡者とそれに立ち向かう男の対立を中心に描き、韓国で歴代級のヒットとなった『ソウルの春』。軍の派閥が絡み合う本作にはW主演のファン・ジョンミンとチョン・ウソンを筆頭に実力派俳優がキャスティングされており、キム・ソンギュンもその一人として存在感を示している。
スクリーンデビューを飾った『悪いやつら』(12)では、ハ・ジョンウ演じるヤクザの右腕役を演じ、宮史郎的なユニークな髪型とたくましい顎周りを持つ個性的なルックスでインパクトを残すと、その後は悪役俳優としてたちまちブレイク。不気味なキャラクターを演じる一方で、コメディにも多く出演し、会社の近くに購入した念願のマンションが崩壊してしまう悲運の主人公をコミカルに演じた『奈落のマイホーム』(21)などで人気を高めてきた。
『ソウルの春』では高潔な軍人である首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)が信頼を寄せる憲兵監ジュニョプ准将を演じており、チョン・ドゥグァン(ファン・ジョンミン)側のクーデターに逃げ腰な軍の首脳陣に楯突き、強硬姿勢を貫き通す信頼できる男を好演。上の立場の人からの圧にも決して怖気づかないタフさが顔つきにもしっかりと出ていた。
無骨なルックスのまさに頼れる男!チョン・マンシク
同じく『ソウルの春』でインパクトを残していたのが、渡辺謙かつ渡辺いっけい的なルックスの雰囲気が日本人にもなじみのある(?)チョン・マンシクだ。本作でメガホンを握るキム・ソンス監督の前作『アシュラ』(16)では主人公の悪徳刑事に圧をかけて、市長の悪事を暴こうとする暴力的な検察官を演じるなど、無骨なたたずまいを生かして『哀しき獣』(10)、『ベテラン』(15)といったヒット作にも出演してきた。
『ソウルの春』では、テシンに共鳴する特殊戦司令官のコン・スヒョク少将役にキャステイングされたマンシク。軍事クーデターによってドゥグァン率いる反乱軍から襲撃を受けると、部下は立ち退かせる一方で、自分は最後までその場に残って戦う頼れるリーダーを、意思を感じさせる眼差しと重厚な存在感で体現。この男ならついていきたいと思わせるカリスマ性も抜群だった。
キム・ソンス監督が約60名にもおよぶキャラクターの配役をこだわり抜いたそうで、彼らのほかにも、一度は見たことがあるようなベテラン俳優が随所に登場。おじさんだらけだが、誰が誰だか混乱しないようなキャスティングも絶妙だ。
人情味ある笑顔がキュートなキム・サンホ
現代韓国映画の原点とも言える『シュリ』(99)のカン・ジェギュ監督がメガホンを握った『ボストン1947』。本作は、1936年のベルリン五輪で日本代表として金メダルと銅メダルを獲得したソン・ギジョンとナム・スンニョンが、戦後にマラソンチームを組み、若き選手が祖国の国旗をつけてボストンマラソンを走れるよう奮闘する姿を描いている。
ソン・ギジョン役のハ・ジョンウ、若きランナーであるユンボク役のイム・シワンといった人気俳優のなかで、チャーミングな存在感を示しているのがベテラン俳優のキム・サンホだ。人のよさそうな笑顔や人情味があふれるたたずまいが印象的なサンホは、映画やドラマで幅広く活躍。日本の『焼肉ドラゴン』(18)では寡黙で優しい一家の父役を好演しており、覚えている人も多いのではないだろうか。
『ボストン1947』では、ボストンマラソンのため渡米したギジョンたちと大会側との間を取り持つ在米の保証人ペクを演じている。調子のいい笑顔で金こそすべてというどことなく胡散臭い男になりきる一方、ギジョンたちに絆され、誇りを取り戻していく様子も表現。選手の活躍に喜ぶ笑顔が最高だ。