韓国映画を支えるこの“おじさん俳優”たち知ってる?一度見たら忘れない、いい顔がずらり!
コミカルな芝居で目を奪うパク・ジファン
悪を懲らしめるためなら手段を選ばないマ・ドンソク扮する怪力刑事マ・ソクトの活躍を描く「犯罪都市」シリーズ。アクションに加え、ギャグも魅力的なこのシリーズで、コミカルなエッセンスを加えているのが、1作目から全作に出演しているパク・ジファンだ。
悪役とユーモラスなキャラクターでキャリアを積み上げてきたパク・ジファンにとって、ブレイクのきっかけとなった『犯罪都市』(17)では弱小ヤクザのボスであるチャン・イスを演じ、威勢はいいが、圧倒的な怪力を持つソクトにビビり、いいように使われる小悪党ぶりで笑いを誘った。
シリーズを重ねるごとにその扱いのひどさはエスカレートしており、『犯罪都市 PUNISHMENT』では商売により成金になっていたが、オンラインカジノに詳しいという理由から捜査に協力することに。ヤクザ時代は坊主だった髪が伸びに伸びた長髪のルックに浮かべる喜怒哀楽豊かな表情はとにかくチャーミング。物語のオチを担うなど過去作にも増して大活躍だった。
役ごとに印象が異なるカメレオン俳優イ・ドンフィ
同じく『犯罪都市 PUNISHMENT』で怪しげな輝きを放っているのがイ・ドンフィ。『エクストリーム・ジョブ』(19)では捜査アジトにしていたフライドチキン屋が繁盛する状況に嘆きながらも一人奮闘する張り込み刑事を演じ、『幼い依頼人』(19)では弟殺しの容疑者となった10歳の少女を救おうと奮闘する弁護士役でシリアスな一面を見せるなど、作品ごとに異なる印象を見せる個性派俳優と評されている。
『犯罪都市 PUNISHMENT』で演じたのはヴィランの一人で、表向きは実業家、裏の顔は犯罪組織のオーナーという“ITの天才”チャン・ドンチョル。ボスでありながら反抗的な部下にビビるなど器の小さい男で、ニターっとした笑顔でひどいことをさらっと言い放つ冷酷な悪役を生き生きと演じている。
引っ張りだこのドンフィは、霊の存在を信じないインチキ祈祷師がある少女の除霊で邪悪な悪霊と対峙することになる『憑依』にも名を連ねている。ある秘密を抱える祈祷師のチョン博士(カン・ドンウォン)の助手で、ハイテクな技術を操りインチキを成り立たせるインベ役を演じているドンフィ。美人な依頼者に鼻の下を伸ばしたり、儀式中に予想外の悪霊が現れて慌てふためいたりとユーモラスな芝居で、どっしりと構えるチョン博士のただ者ではない感を際立たせた。
出演作が立て続けに公開中のキム・ジョンス
同じく『憑依』でチョン博士たちの悪霊退治に協力するファン社長を演じているのがキム・ジョンスだ。ジョンスといえば、数多くの作品をどっしりとした演技で支えてきた“いぶし銀”。ここ最近も、厳格な税関係長に扮した『密輸 1970』や裏社会のボスを演じた『このろくでもない世界で』が立て続けに公開されており、目にした人も多いことだろう。
『憑依』では、チョン博士となじみの骨董品の店主を演じており、長髪を後ろで結んだどことなく胡散臭いビジュアルが新鮮だ。インチキ除霊を咎めるチョン博士の過去を知る人物であり、時に怒号を浴びせたりとベテランらしい重みのある演技はさすがだ。
さらに、レバノンで拉致された韓国人を救うというミッションを課された外交官とタクシー運転手の戦いを描いたポリティカルアクション『ランサム 非公式作戦』には、外交官をまとめる外務部長官のチェ・ガンソク役で出演。非公式な作戦を実行するにあたり、安全企画部部長の圧と部下たちの進言の板挟みの状況で決断を迫られる胸中を、渋みのある姿で表現した。
話題作が立て続けに公開されている韓国映画、主演はもちろん、作品を脇から支えるいい顔のおじさんたちにも注目してみてほしい。
文/サンクレイオ翼