『ラストマイル』がぶっちぎりで初登場No. 1!混戦の夏休み興行に名乗りをあげ、満島ひかりの“不動の代表作”となるか

コラム

『ラストマイル』がぶっちぎりで初登場No. 1!混戦の夏休み興行に名乗りをあげ、満島ひかりの“不動の代表作”となるか

夏休みシーズンも終盤に差し掛かってきた8月23日から8月25日までの全国映画動員ランキングが発表。2018年に放送された「アンナチュラル」と2020年放送の「MIU404」、2つのテレビドラマの世界と繋がる“シェアード・ユニバース”という試みで公開前から注目を集めていた『ラストマイル』(公開中)が、2位以下を大きく引き離して初登場No. 1を飾った。

初日から3日間で興収10億円に迫る大ヒットスタート!

「アンナチュラル」と「MIU 404」と同一の世界線で展開する『ラストマイル』
「アンナチュラル」と「MIU 404」と同一の世界線で展開する『ラストマイル』[c]2024 映画『ラストマイル』製作委員会

全国352スクリーンで公開された『ラストマイル』の初日から3日間の観客動員数は66万2000人、興行収入は9億7800万円。これは今年公開された実写の日本映画としては『キングダム 大将軍の帰還』(公開中)に次ぐ好成績であり、最終興収28億円を記録した塚原あゆ子監督の前作『わたしの幸せな結婚』(23)との対比では動員が138%、興収が150%となる。混戦がつづいている夏休み興行の主役候補として、新たに名乗りをあげる一本となるのは間違いないだろう。

続編やスピンオフでもなく、あくまでも同一の世界線に属した異なる物語が展開する“シェアード・ユニバース”。マーベルやDCなど、主にヒーロー映画で頻繁に使われてきた概念ではあるが、M.ナイト・シャマランの“シャマラン・ユニバース”のように1人の作家の世界観に置き換えることも可能であり(『ラストマイル』の場合は塚原あゆ子監督と脚本家の野木亜紀子、そして新井順子プロデューサーの3名によって構築されている)、その点ではオリジナル作品の可能性を拡げる試みとして画期的なものだ。

テレビドラマの劇場版化とは異なる方法論で、新たな可能性を見出す一本に
テレビドラマの劇場版化とは異なる方法論で、新たな可能性を見出す一本に[c]2024 映画『ラストマイル』製作委員会

また同時に、今作のようにテレビドラマから連なった要素が含まれている点においては、コロナ禍以降ブームが再燃しているテレビドラマの劇場版化という流れにも新たな選択肢を与えることになる。今作の場合は前身の2作品を観ていなくても一個独立した映画作品として成立するメリットを有しており、一般的な劇場版化で懸念される間口の狭さを解消することもできるはずだ。とはいえ今作の成功を受けて、今後“シェアード・ユニバース”と銘打ったスピンオフが頻発してしまう可能性も捨て切れないのだが。


ところで、満島ひかりが映画主演を務めるのは『海辺の生と死』(17)以来7年ぶりとなる。しかも、いわゆるメジャー作品ではこれまでヒロイン格での出演がほとんどであり、主演を務めるのは意外にも初めてであろう。10代前半のころに「Folder」のメンバーとしてデビューし、その当時に『モスラ2 海底の大決戦』(97)に出演。グループの改組と解散を経て俳優業へ転身して以降の活躍ぶりは改めて説明するまでもなく、とりわけここ10年ほどの出演作は映画・テレビドラマ・舞台問わず作品評価の高いものが多く、その安定感は著しい。

【写真を見る】映画主演は7年ぶり!満島ひかりが連続爆破事件に挑む
【写真を見る】映画主演は7年ぶり!満島ひかりが連続爆破事件に挑む[c]2024 映画『ラストマイル』製作委員会

それでも女優として脚光を浴びるようになって以降に出演した実写映画の最高興収は、今作でも共演している岡田将生と共演した『悪人』(10)の19億8000万円(それ以前の「デスノート」シリーズでは夜神月の妹役で出演しているが、出番は決して多くない)。初日から3日間でその半分近くを稼ぎだした『ラストマイル』は、ほぼ確実にその記録を塗り替えることになり、満島にとって興行的成功を伴った不動の代表作となることだろう。

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