「イシナガキクエ」大森時生が『悪魔と夜ふかし』試写会に登壇!「新しいファウンド・フッテージ作品になっています」

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「イシナガキクエ」大森時生が『悪魔と夜ふかし』試写会に登壇!「新しいファウンド・フッテージ作品になっています」

テレビ番組の生放送中に起きた奇怪な現象を“ファウンド・フッテージ”のスタイルで描きだした、オーストラリア発のホラー映画『悪魔と夜ふかし』(10月4日公開)。本作のPRESS HORROR試写会が9月13日に都内で行なわれ、上映後のトークショーにこの夏大きな話題を集めた展覧会「行方不明展」をはじめ、「テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?」や「TXQ FICTION イシナガキクエを探しています」などを手掛けたテレビ東京の大森時生プロデューサーが登壇した。

【写真を見る】1977年のハロウィン、深夜の生放送番組でなにが起きたのか…
【写真を見る】1977年のハロウィン、深夜の生放送番組でなにが起きたのか…[c]2023 FUTURE PICTURES & SPOOKY PICTURES ALL RIGHTS RESERVED

本作で映し出されるのは、深夜のテレビ番組「ナイト・オウルズ」の封印されたマスターテープ。1977年のハロウィンの夜、司会者のジャック・デルロイ(デヴィッド・ダストマルチャン)は生放送でのオカルトライブショーで人気低迷を挽回しようとしていた。番組内では霊聴やポルターガイスト、悪魔祓いなど、怪しげな超常現象が次々と披露され、視聴率は過去最高を記録。ところが番組がクライマックスを迎えた時、思いも寄らない惨劇が巻き起こることに…。

今年3月に北米で公開されると、初週末の興行収入ランキングでトップテン入りを果たし、累計興収1000万ドルを突破するスマッシュヒットを果たした本作。『エクソシスト』(73)をはじめとした1970年代から1980年代にかけての名作へのオマージュを織り交ぜたレトロかつリアルな映像表現が大きな話題を呼び、批評集積サイト「ロッテン・トマト」では批評家からの好意的評価の割合は97%と高評価を獲得。ホラー界の巨匠であるスティーヴン・キングも絶賛のコメントを寄せた。

「従来のファウンド・フッテージとは逆転している」

大森が語る、ファウンド・フッテージの魅力と弱点とは?聞き役を務めたのは、PRESS HORROR編集長の西川亮
大森が語る、ファウンド・フッテージの魅力と弱点とは?聞き役を務めたのは、PRESS HORROR編集長の西川亮

これまで数々の“ファウンド・フッテージ”やフェイクドキュメンタリー作品を手掛けてきた大森は、まさにいまブームとなっているこのジャンルの第一人者の一人。「ホラー映画は観終わったら、終結したという感覚になるけれど、フェイクドキュメンタリーの場合はそれがない。現実世界と地続きに感じられ、観終わった後も終わっていない感覚が残り、フィクションとして現実と虚構の境の薄靄のなかに居続けることで、観終わった時にふと不安な気持ちになるのが好きなところです」と、このジャンルの魅力を熱っぽく語る。

司会を務めたPRESS HORRORの西川亮編集長から、本作について感想を求められると、「率直にめちゃくちゃおもしろい。ちゃんと観客を隙間なく楽しませようとする感覚のある映画だと思いました」と絶賛。さらに「ホラー映画では、ファウンド・フッテージの手法を取り入れたとしても、それはフェイクドキュメンタリーじゃなく、完成された一本の劇映画として作られます」と、近年大きな話題をさらった台湾の『呪詛』(Netflixにて配信中)を例に挙げて、一つの大きなフィクションの物語のなかにファウンド・フッテージが差し込まれることで、没入感を高める役割を果たすことが多いと説明。


本編の大部分が“発掘されたマスターテープ”…テレビ局の強みが活かされたファウンド・フッテージに
本編の大部分が“発掘されたマスターテープ”…テレビ局の強みが活かされたファウンド・フッテージに[c]2023 FUTURE PICTURES & SPOOKY PICTURES ALL RIGHTS RESERVED

「ですが、『悪魔と夜ふかし』はその点が逆なのが特徴的」と、これまでにないファウンド・フッテージ作品であることを強調し、「ファウンド・フッテージが映画の8割から9割を占めていて、それ以外のCMの時間やラストの物語が、従来のファウンド・フッテージのような立ち位置で差し込まれた構成になっている。このように逆転している構図は意外と観たことがなく、とても新しいです」と唸る。

「監視カメラやスマホなどでたまたま撮られていた映像は、点としての迫力があるけど、さすがに30分は見られない。それがファウンド・フッテージの弱点です。でもテレビ局にある素材は、誰かを楽しませるために作られ編集された状況で保存されているということがあり得る。それを倉庫で見つけた、という手法でファウンド・フッテージとして作ることができるのはテレビ局ならではあり、『このテープもってないですか?』はまさにその手法で作りました。それをさらに極めたものが、この『悪魔と夜ふかし』だといえるでしょう」。

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