「イシナガキクエ」大森時生が『悪魔と夜ふかし』試写会に登壇!「新しいファウンド・フッテージ作品になっています」
「本当におもしろいと感じたものを届けようとしている」
実際にテレビの制作現場で働くテレビマンとして、“テレビ番組のスタジオ”で起こる怪異をどのように見たのだろうか。大森は「やっぱり視聴率は気になるし、テレビのおもしろさは“なにがなんでも放送することを止めないこと”だと思っています。だからなにか事件が起こっても撮りつづけるし、ショーは止まらないんだという要素がこの映画のなかにはよく出ていました」と、現場の描写のリアリティに太鼓判。
「司会者のジャックの、危険をおかしてでも視聴率をとるんだという迫力はとてもおもしろかったです。主人公だけど“信頼できない語り手”になっていて、ジャックが不都合な真実を隠して進行したり、悪魔を利用したり、テレビがムーブメントを起こすために暴力的になっている。そうしたテレビ自体への皮肉が込められている点にも興味をそそられました」とテレビマンならではの視点で本作の魅力を語っていく。
さらにジャックをはじめ、劇中には様々な強烈な個性を放つ登場人物が登場するが、そのなかでも大森が魅了されたのは悪魔憑きの少女リリーだという。「彼女が出てきた時の迫力に心を掴まれたし、悪魔に取り憑かれてパニックを引き起こすことに納得感のある、なかなかいないタイプの女の子だと思いました。CM中にメイクを直してもらっている時に『私可愛い?』と確認するところも子どもらしい怖さがあって、不穏で不気味でおもしろい。あんな完璧な子どもがいるフェイクドキュメンタリーをやってみたい」と自身の作品にも出演してほしいと熱望した。
最後に大森は「エンタテインメントとしてちゃんと楽しんでもらいたいという気持ちが全面に出ているホラー映画で、絶え間なくおもしろいことが起こるし、アメリカのホラーの影響を受けずに既存の文脈から解き放たれ、監督が本当におもしろいと感じたものを届けようとしている作品。ホラーが苦手な人も観られるのではないかと思います」とアピール。
「自分もテレビならではの迫力をフィクションに昇華できたらと思いました」と、同ジャンルの作り手としてもテレビマンとしても、ファウンド・フッテージの新たな可能性を見出した本作から大きな刺激を受けたことを明かしていた。
文/久保田 和馬