ヒグチユウコとティム・バートンの世界観が融合!『ビートルジュース ビートルジュース』で感じた作家としての“揺るぎなさ”を語る

インタビュー

ヒグチユウコとティム・バートンの世界観が融合!『ビートルジュース ビートルジュース』で感じた作家としての“揺るぎなさ”を語る

「過去の作品をそのまま活かして描く、ティム監督の“揺るぎなさ”を感じました」

楽しい歌やダンスシーンも見どころの本作には、前作で象徴的に使われたジャマイカの名曲「Banana Boat」も使われている。「お父さんの追悼の歌で『Banana Boat』が使われていました。これは労働の歌なので、『最期まで働く曲なの?』と笑っちゃいました。私の母があの曲を歌ったハリー・ベラフォンテの大ファンで、前作で初めて観た時も驚きましたが、まさか続編でも使うとは(笑)。でもとてもいい曲ですし、楽しい気持ちになりますよね」。

前作でも勝手に体が踊りだしてしまうシーンで印象的だった「Banana Boat」(写真は『ビートルジュースより』)
前作でも勝手に体が踊りだしてしまうシーンで印象的だった「Banana Boat」(写真は『ビートルジュースより』)[c]EVERETT/AFLO

ちなみにお気に入りのシーンを尋ねると、前作と同じくダニー・エルフマンの曲をバックに実写とミニチュアセットを組み合わせたオープニングをあげた。「今回も映画の導入でジオラマの街を映し出すじゃないですか。その中にいるビートルジュースの世界に入っていくというワクワク感がありますね」。

ティム・バートンの監督作はほとんどソフトを購入し何度も観ているというヒグチにとって、バートン作品の魅力は「かわいらしさ、キュートさ」だという。「どんなに怖いお話も、コミカルでかわいらしいじゃないですか。年配の方を含め女優さんをキュートで輝いてとるところもいいですね。クモをはじめ虫をよく使うところも好感度が上がるポイントで、昆虫を魅力的に表現してくれるのもすてきです。(バートンが製作を務めた)『ジャイアント・ピーチ』の公開時には、お小遣いをやりくりしながら映画の昆虫フィギュアを集めていました」と振り返る。

バートン監督の魅力は、昆虫たちの表現だと語る(写真は『ジャイアント・ピーチ』より)
バートン監督の魅力は、昆虫たちの表現だと語る(写真は『ジャイアント・ピーチ』より)[c]EVERETT/AFLO

空想世界を緻密なタッチで表現し国内外で高い評価を得ているヒグチは「子どものころから活躍している雲の上の存在」というバートン監督をクリエイターとしてどう捉えているのだろうか。「私は自分の作品を後から手を加えたくなる癖がすごくあるんです。本になっている作品でも、隙あらば描き直したいという。でも『ビートルジュース ビートルジュース』を観たら、ティム監督は過去の作品をそのまま活かして描いているじゃないですか。“揺るぎなさ”を感じました」。

「『ビートルジュース』には、いやな気分になるシーンが一つもない」

撮影現場でのマイケル・キートン&ティム・バートン監督
撮影現場でのマイケル・キートン&ティム・バートン監督[c] 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

そんなバートン監督と一緒に仕事をしたいと思ったこともあったという。「いつかティム監督とお仕事できたらいいな、みたいなことを友達と話していました。でも映画は自分が行きたい世界とは違うからな、なんて生意気なことを言ってみたり(笑)」。そんなヒグチは間接的にバートン監督とつながりがある。バートン監督はヒグチの友人である音楽ユニット「黒色すみれ」の大ファンで、来日時にはかつて彼女たちがやっていた店に立ち寄っていた“常連”だった。「お店を閉店する時、彼女たちは監督がお店の壁に描いた絵の部分をくり抜いて持ち帰ったそうです」。


ひと足先に全米で公開された『ビートルジュース ビートルジュース』は、全米9月公開作品として『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)に次ぐ歴代2位の大ヒットを記録している。ほかにも2018年にはミュージカル化され全米で上演、USJのアトラクション「ユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショー」ではビートルジュースがDJを務めるなど時代を超えて支持されている。「これだけ長く親しまれているのは、ティム監督ならではのアート要素の強い世界観と、そこにマッチした役者さんの存在が大きいと思います。それにいやな気分になるシーンが一つもないところも大好きです。上映時間もコンパクトにまとまっているし、子どもが観ても大人が観ても楽しめる。それは36年ぶりの今回も同じですね」。

『ビートルジュース ビートルジュース』は公開中!
『ビートルジュース ビートルジュース』は公開中![c] 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

取材・文/神武団四郎

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