エレンたち、幼なじみ3人組の視点からシリーズを振り返る!『劇場版「進撃の巨人」完結編』で描かれたそれぞれの選択と結末
諦めずに語りかけ続けたアルミンの矜恃
アルミンは“ネゴシエーター”である。言葉が通じる者であれば、殺し合いをする前に話し合いを持ちかけ、相手が応じるまで諦めずに語りかける。そして対話で物事を解決すべく、相手を理解しようと力を尽くし、粘り強く会話を重ねる。人に対して努めてフラットな立場で接し、周囲の状況を見ながら、慎重に相手との距離を縮めて活路を見出す力があるし、最悪の場合は実力行使しかないという腹のくくり方もよい。その交渉のうまさは、巨人化したエレンを憲兵から守ったことでも証明されている。
エレンが何も話さずに行方をくらましたときも、エレンの身勝手な行動でマーレとの戦いに調査兵団を巻きこんだときも、アルミンはエレンが話してくれるのを辛抱強く待った。きっと自分たちに明かせない理由や、考えがあるだろうと。しかし、パラディ島がイェーガー派と反イェーガー派に分裂して争いが始まり、ようやくエレンと話す機会ができたと思ったら、当のエレンは聞く耳を持っていなかったのは、アルミンにとってショックな出来事だっただろう。
ましてエレンは、自分だけでなくミカサの恋心を踏みにじって傷つけた挙げ句、手の届かないところまで行ってしまったのだ。これは親友として絶対に許せることではないし、なぜそんな行動を取ったのか、エレンの口から説明を聞くまで納得できない。だからこそ地鳴らしを止め、終尾の巨人からエレンを引きずり出して、対話をする――徹頭徹尾、アルミン・アルレルトらしい選択と行動には、本当に胸が熱くなる。だからこそ、初っぱなに彼の最大の武器である“口”を封じた“オカピっぽい巨人”を巡るミカサたちの奮闘を、心の底から応援することができるのだ。
エレンを止められるのは、アルミンたちしかいない――そう信じて、飛行艇を飛ばすために尽力したアズマビトたち、その飛行艇を守って散ったハンジ(声:朴ロ美)、決死の覚悟で終尾の巨人に送り届けてくれたオニャンコポン(声:樋渡宏嗣)。共に戦うリヴァイ(声:神谷浩史)、ジャン(声:谷山紀章)、コニー(声:下野紘)、ライナー(声:細谷佳正)、ピーク(声:沼倉愛美)。援護にかけつけた、アニ(声:嶋村侑)、ファルコ(声:花江夏樹)、ガビ(声:佐倉綾音)。そして、これまでの戦いで命を落とした多くの人たち。
みんなが命懸けでつないだチャンスをものにした末に到達した場所でのエレンとの再会で、ほぼすべての疑問に答えが出るはずだ。そして、エレンを殴りつけた拳に込められた、アルミンの想いを感じてほしい。