名ヴィランを演じてきたマッツ・ミケルセン、『ライオン・キング:ムファサ』キロス役を分析「いい王様になれたかもしれない」
「『ライオン・キング』は娘と一緒に観てファンになりました」
1994年公開の『ライオン・キング』は第67回アカデミー賞の作曲賞&主題歌賞に輝き、2019年の超実写版もディズニー映画の世界歴代No.1のヒットを記録した。このほか、ミュージカルや舞台など長年にわたって親しまれている。「ライオン・キング」というコンテンツとの思い出を聞いてみると、以下のような答えが返って来た。
「ある程度の年齢になると誰もがディズニー作品に触れますよね。1994年のアニメーション版は娘にとってのそのタイミングの作品で、一緒に観た思い出があります。それからミュージカル版もロンドンで観ていて、たしか1万回以上も上演されているんですよね。なので、娘と一緒にファンになったという感じです」。
さらに突っ込んで、ミケルセンにとっての“ディズニーラバー”になった作品は?と問うと、1938年に製作された『牡牛のフェルディナンド』をセレクト。「クリスマスシーズンになるとクリスマス関連の作品をみんなで観ながら過ごすのですが、そのなかでも特に思い出深いタイトルです。フェルナンドは闘牛なので本当は戦わないといけないのに、花が好きで香りをずっとかいでいるというキャラクターでした」と懐かしい記憶も振り返ってくれた。
「渡辺さんなら、オリジナルのキロス役でもバッチリ演じてくれたでしょう」
本作の超実写プレミアム吹替版でキロス役を演じるのは渡辺謙。渡辺の印象について「すばらしい俳優」と話し始めると、「たしかミュージカルもやられていましたよね(「The King and I 王様と私」に出演)。歌も歌えるし、渡辺さんならオリジナルでもキロス役をバッチリ演じてくれたと思いますよ」と絶賛していた。
ミケルセンと渡辺に共通するのは、ハリウッドで活躍しながらそれぞれの母国作品にもコンスタントに出演し続けていること。こういったスタンスについては、「すごく恵まれたポジションにいる」と捉えている。「デンマークは私の故郷であり、母国語の国であり、人生の物語がある場所。一方、アメリカはデンマークでは難しい大規模作品、特にアドベンチャー系の作品に参加できるのが魅力ですね。両方を愛していますよ!」。
マッツ・ミケルセンが演じてきた名悪役の歴史に新たな1ページを加えるに違いない『ライオン・キング:ムファサ』のキロス。彼がムファサたちを執拗に追い続ける理由とは?その複雑な内面にも注目しながら劇場で鑑賞してほしい。
取材・文/平尾嘉浩