もう観られる!『オッペンハイマー』『シビル・ウォー』『憐れみの3章』など早くも配信中の2024映画を振り返り
世界一の国家が分断してしまったら…『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
近未来のアメリカは、国内が分断されているというショッキングな設定。カリフォルニアとテキサスが同盟を組み、政府軍との戦闘が勃発する。その状況で、ジャーナリストらの一団が、ニューヨークからワシントンD.C.を目指して戦地を進んでいく。
行く先々での彼らの体験を生々しく表現したのは、『エクス・マキナ』(16)などのアレックス・ガーランド監督。日本ではあえて10月に劇場公開したことで、11月のアメリカ大統領選とシンクロ。アメリカの分断がリアルに受け止められ、スマッシュヒットとなった。
世界で一人のサンタにまさかの危機!?『レッド・ワン』
人気スターが持ち前の魅力を発揮し、子どもから大人まであらゆる世代にアピールする、ハリウッドらしいアクション娯楽作。たった一人のサンタクロースが、クリスマスの1日に世界中の家庭を訪問するという設定がユニークで、細部までオモチャ箱のようなサンタの国の描写にテンションが上がる。
サンタの護衛隊長役でドウェイン・ジョンソンが肉体アクションを全開にし、サンタ誘拐に加担した賞金稼ぎの男に扮したクリス・エヴァンスがハマリ役。バディムービーの魅力も備わって、2024年のクリスマスシーズンを彩った。
まったく別の物語が交錯していく…『憐れみの3章』
『哀れなるものたち』に続く、ヨルゴス・ランティモス監督の2024年の2作目。事故を起こすことを強要される男。海難事故から生還した妻が別人では…という疑惑。カルト宗教の新たな教祖の探索。そんな3つの無関係なドラマをオムニバス形式で描くのだが、共通のキャストが3つのパートで別の役を演じるという演出が斬新。やがて3つのパートにリンクが見えてくるという不思議な効果をもたらす野心作だ。キャストの一人、ジェシー・プレモンスはカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した。
こうして公開された映画を振り返ると、先鋭的でチャレンジ精神にあふれる作品も多かった2024年。年が明けると、アカデミー賞に絡む作品も数多く登場するうえ、2025年は特大ヒットを見込まれる話題作が相次ぐ。どんな映画に出会えるのか、いまから期待値を上げて待っていてほしい。
文/斉藤博昭