“体が欲していた味”を提供する安心感!海外でも人気の「孤独のグルメ」ヒットの理由を振り返る

コラム

“体が欲していた味”を提供する安心感!海外でも人気の「孤独のグルメ」ヒットの理由を振り返る

「ワカコ酒」や「ラーメン大好き小泉さん」など後継ドラマも続々

【写真を見る】「梨泰院クラス」のユ・ジェミョン演じる入国管理局の職員の前で韓国料理を堪能する五郎
【写真を見る】「梨泰院クラス」のユ・ジェミョン演じる入国管理局の職員の前で韓国料理を堪能する五郎[c]2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会

アジアだけでなく、「孤独のグルメ」は日本のドラマ界にも影響を与えている。本作以降、実際の店や料理が登場する漫画原作の作品も続いていて、「ワカコ酒」(2015年~)や「ラーメン大好き小泉さん」(2015~22年)、「不倫食堂」(2018~19年)といった作品も話題になった。

ドキュメンタリーとフィクションを融合させたドラマも次々と登場していて、「孤独のグルメ」スタッフによる「昼のセント酒」(2016年)や「日本ボロ宿紀行」(2019年)、「純喫茶に恋をして」(2020~22年)、谷口ジロー原作による散歩ドラマ「歩くひと」(2020~21年)も製作されている。

フランスから韓国、長崎、東京へと食の旅が展開される『劇映画 孤独のグルメ』

新年早々に公開となる『劇映画 孤独のグルメ』。本作では、かつての恋人の娘の依頼でフランスのパリへと降り立った五郎が、彼女の祖父から「子どもの頃に飲んだスープがもう一度飲みたい」とお願いされたことから、なし崩し的にスープの食材探しをするはめになってしまう。

フランスのパリに降り立った五郎
フランスのパリに降り立った五郎[c]2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会

フランスから韓国、長崎、東京へとかつてない規模で展開される食の旅。海で遭難したり、無人島で行き倒れそうになったりする姿にハラハラさせられる一方で、「腹が減った…」とおなじみのモノローグをこぼしながら一心不乱に店を求めて歩き、夢中になって目の前の料理を頬張るいつもの光景にはほっこりさせられる。内田有紀に磯村勇斗、塩見三省、杏、オダギリジョー、大ヒット韓国ドラマ「梨泰院クラス」のユ・ジェミョンといった豪華キャストが出演するほか、村田雄浩演じる五郎の仕事仲間、滝山がドラマシリーズ以上に活躍しているところもファンにはうれしいポイントだ。

内田有紀演じる韓国領の島で自給自足の生活をしている志穂
内田有紀演じる韓国領の島で自給自足の生活をしている志穂[c]2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会


何気ない日常にある、奇をてらっていないもの。だからこそ目新しくも見えて、それでいてしっかり手を掛けられているもの。原作にも描かれていて、ドラマ版でも五郎がよく口にするのが、「こういうのでいいんだよ」というセリフ。まさに「孤独のグルメ」はこの言葉を体現する作品であり、「体が欲していた味」(S2・8話)ともいえる。ドラマ自体の人気も、そんなところにあるのかもしれない。

「こういうのでいいんだよ」というセリフを地で行く安心感も「孤独のグルメ」の魅力
「こういうのでいいんだよ」というセリフを地で行く安心感も「孤独のグルメ」の魅力[c]2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会

文/渡辺水央

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