別れた恋人に想いを馳せる『366日』や顔も知らない相手との恋模様を描く『大きな玉ねぎの下で』など、名曲から生まれたラブストーリーたち
余命1年のヒロインの“最初で最後の恋”を描く『雪の華』
冬を代表するバラードとして広く愛される、中島美嘉が2003年にリリースした名曲がモチーフの『雪の華』(19)。人生で初めての恋をすることと、フィンランドでオーロラを見ることを夢見る美雪を中条あやみ、不器用だが真っ直ぐな青年、悠輔を登坂広臣が演じる。幼い頃から病弱だった美雪はついに余命1年を宣告されてしまう。そんななか美雪は、ひったくりから救ってくれた悠輔に、1か月限定の恋人になってほしいと持ちかける。一面に広がる雪景色や幻想的なオーロラ、そして北欧の町並みなど、現地での撮影が敢行されたフィンランドの美しい景観も必見。
“いま”を全力で生きる人々を映す『愛唄 -約束のナクヒト-』
2007年にリリースされた、GReeeeN(現GRe4N BOYZ)初となるラブソング「愛唄」がモチーフの『愛唄 -約束のナクヒト-』(19)は、GReeeeNが脚本と音楽全般を手掛け、彼らが実際に体験した出来事を基にした青春ラブストーリー。恋に全力で向き合う青年と少女、彼らを見守る元バンドマンの物語が展開する。余命宣告を受けたトオル(横浜流星)は、旧友との再会や運命の少女との出会いを通じて、いまを生きようと前向きな勇気を抱くようになるが…。愛され続ける「愛唄」に込められたメッセージと同じ想いで描かれた、タイトルの「ナクヒト」が表すように、”泣く人、涙するほど全力な人”たちの物語となっている。
沖縄と東京を舞台に描かれる、20年にわたる純愛『366日』
映画&連続ドラマ「赤い糸」の主題歌に起用され、大きな話題を集めた同名曲を題材に、歌詞では描かれていない男性側に焦点を当てたオリジナルストーリーが紡がれる『366日』。高校時代、沖縄で後輩の美海(上白石萌歌)と恋に落ちた湊(赤楚衛二)は、彼女の言葉に背中を押され上京。2年後に上京してきた美海と幸せな日々を送っていたが、ある日、湊は突然別れを告げて彼女のもとを去ってしまう。それから15年、湊のもとに、美海からのメッセージが込められた1枚のMDが届く―。「Street Story」や「AM11:00」といったHYの楽曲が劇中で登場するほか、「366日」のアンサーソングとして制作された新曲「恋をして」が主題歌として物語を彩っているところもポイントだ。
これらの作品を生みだすきっかけとなった楽曲たちは、どれもリリースから何年経っても聴き続けられているものばかり。世代を越えて長く愛されているのは、歌詞やそこに込められた想いに、様々な解釈ができるからではないだろうか。ぜひ今回紹介した作品と共に名曲たちの魅力を改めて感じてほしい。
文/サンクレイオ翼