阿部寛、キャリア初の役柄を演じた『ショウタイムセブン』で決意を新たに「70歳になっても挑戦し続けたい」

阿部寛、キャリア初の役柄を演じた『ショウタイムセブン』で決意を新たに「70歳になっても挑戦し続けたい」

韓国映画『テロ,ライブ』(13)を原作に、テレビの生放送中に爆弾犯との命がけの交渉に挑むキャスターの姿を描くリアルタイム型サスペンス、『ショウタイムセブン』(公開中)。阿部寛が主演を務め、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(23)で映画初監督を務めた渡辺一貴がメガホンを取る本作では、オリジナル要素を盛り込んだ、手に汗握る緊張感たっぷりの物語が展開していく。

命懸けの“生放送”を映すリアルタイム型サスペンス
命懸けの“生放送”を映すリアルタイム型サスペンス[c]2025『ショウタイムセブン』製作委員会

阿部が演じる折本眞之輔は、ラジオ局に左遷された国民的ニュース番組「ショウタイム7」の元キャスター。ある日の午後7時、ラジオ局に入った1本の電話から物語が動きだす。電話をかけてきた男の予告通り、発電所で爆破事件が発生。謎の男は、交渉人として折本を指名し、これを番組復帰のチャンスと考えた折本は「ショウタイム7」に乗り込み、自らキャスターを務めて犯人とのやりとりの生中継を強行する。しかし、そのスタジオにもすでにどこかに爆弾が設置されていた。自身の発言のすべてが生死を分ける極限状態に追い込まれた折本の姿が、リアルタイムで国民に拡散され、予測不能のラストに向かっていく。

「僕がやってきた仕事にも近い存在なのに、一番遠い感じがしました」

国民的ニュース番組の元キャスター、折本眞之輔に惹かれたポイントとは?
国民的ニュース番組の元キャスター、折本眞之輔に惹かれたポイントとは?撮影/興梠真帆

自身初のキャスター役に挑んだ阿部。ライブ感を重視しての撮影は、長回しが多く用いられ、緊張している状態、追い詰められている状態の表現を意識したという。「事件が起きるのが『ショウタイム7』が始まる午後7時ごろ。そこから放送される2時間ほどの時間は映画のサイズとほぼ一緒。まるで舞台の準備のように、撮影数日前にみんなで集まって動きを合わせて、セリフや位置の確認をしました。カメラマンはどんな動きにも対応できるように、準備を進めていきました。実際の撮影は、10分超えの長回しが何本もありました」と本作に漂う緊張感を生みだした撮影を振り返る。

台本のト書きには動きについての細かい記載はなかったそう。シーンのほとんどはニュース番組「ショウタイム7」の収録スタジオで、折本は座っている状態も長い。“見せ方”の点で意識していたのは、アナウンサーとして生放送で視聴者を意識して冷静さを保とうとすること。「生放送中のキャスター役なので、様々な方向からカメラに捉えられています。常に視聴者に観られていることを意識する気持ちはかなり強く持っていました」。渡辺監督からはいろいろな方向から様々なカットを撮るので、自由に動いてほしいというリクエストもあったという。そんな初めてのキャスター役はどのように作り上げていったのか。

爆破テロ事件の犯人と決死の生中継を始める
爆破テロ事件の犯人と決死の生中継を始める[c]2025『ショウタイムセブン』製作委員会


「まず、(キャスターが)なにを考えているのか。番宣で目にした時の印象は『常に全体が見えている存在』。どんなことを考えているんだろうと思うことはたくさんありました。例えば、なにか1つのものを読むにしても、役者とは違う意味できっちり伝えること、情報を的確に伝える冷静さと判断能力が必要である一方で、いざなにかが起きた時には自分の力量の見せ場だと瞬時にアドレナリンが出て対処すると思ったりもして。僕ならあたふたしてダメになってしまうけれど、彼らの頭のなかはどうなっているのかなと考えました。冷静さの反面、興奮もすると想像すると、二重構造のようになっているのでは、など(笑)。僕がやってきた仕事にも近い存在なのに、一番遠い感じがしました。初めての領域という印象ですね」。

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