ワクチン普及の功労者!江戸時代の町医者夫婦の奔走に感動が止まらない…『雪の花 ―ともに在りて―』を時代劇ビギナーはどう観た?
夫を待っているだけじゃない!自ら行動する妻、千穂の頼もしさにも共感
日本各地を歩きながら種痘を広めるために奔走する良策。彼が医学の道に邁進できたのも妻、千穂(芳根)の存在があってこそ。疱瘡で亡くなる人々を前に自らを責め、落ち込む夫を元気づけ、彼が京都で学ぶことが決まった際には、「自分が家を守るから安心してほしい」と力強く背中を押していた。医療の歴史が軸ではあるが、良策と千穂、2人の夫婦の絆を描く誰もが共感できる物語としても楽しむことができる。
「千穂が夫を誇りに思い、信じる姿がすばらしかったです」(20代・女性)
「どちらか一方が頑張っても成し得なかったと思うので、夫婦含め、周囲の協力、絆が大切だと痛感しました」(20代・女性)
「互いが互いを信頼し、補って支え合うところに夫婦の絆を強く感じました」(10代・男性)
「互いを信じていることが表情からも伝わってきました。まじめなだけでなく、笑顔ある自然体でいられる関係性が好きでした」(30代・女性)
「妻の存在が良策の行動に影響を与え、困難に立ち向かうことができたのだと思います」(50代・女性)
一方で、千穂はただ夫の帰りを待っていただけではない。幕府から種痘を行う許可を得てからは、京都にいる良策に代わって、福井で「種痘所」を開くための空き家を確保し、赤ん坊に接種させてくれる家庭も探し回っていた。また、子どものころは「おとこのすけ」と呼ばれるほど快活な性格だったようで、祭りのシーンでは男衆に交じって勇ましく和太鼓の撥も振るっている。どんな時も明るく堂々としている彼女の強さ、夫を送りだす際の内に秘めた葛藤も演じる芳根が丁寧に表現しており、より魅力的な人物として観客に受け止められている。
「それぞれが自立しており、依存し合っていない関係性だと感じた」(20代・女性)
「妻が夫を理解し、それぞれの信念を持って行動に移している。互いを認め合っている絆があると感じました」(20代・女性)
「昔のよき妻のようでもあるが、実は妻のほうが夫よりも強いという印象でした」(40代・女性)
「多くは語らないけど、しっかり理解して支えている2人の関係性は理想的」(30代・女性)
「とても芯のある人でとてもたくましい女性だと思います。お互いを想い合う優しさがよかったです」(50代・女性)
役所広司の重厚感、吉岡秀隆らの好演も印象的
先述のとおり、良策と千穂を取り巻く人々を演じるキャストも豪華。『PERFECT DAYS』(23)で第76回カンヌ国際映画祭主演男優賞に輝いた役所広司は、良策を指導する蘭方医、日野鼎哉役で出演。イノシシを門徒たちの前で解剖して見せるなどより実践に根差した医学を重んじる日野は、種痘を初めて行う際も自身の孫や娘を被験者に選ぶほど医師として一本の筋が通っている。ひげを蓄えたビジュアルもあって、黒澤監督の『赤ひげ』(65)で三船敏郎が演じた医者も思わせる。
「存在感が圧倒的だった」(20代・女性)
「役所広司さんの存在が映画を重厚にしてくれていました」(50代・女性)
「良策に医者としての助言をし、師として尊敬できるものがありました」(40代・女性)
「役所さんが出演するだけで深みが出る」(40代・男性)
「Dr.コトー診療所」や『ゴジラ-1.0』(23)などテレビ、映画を問わず幅広く活躍してきた吉岡秀隆は、良策に蘭学を学ぶきっかけを与える大武了玄を好演。いつもはニコニコと笑顔を浮かべる人好きのする人物だが、蘭学のこととなる熱くなってしまい、漢方医学が絶対だと信じていた当初の良策に対して語気が強くなるところも。
「主人公にきっかけを与え、また困った時に現れるところが運命的だった」(40代・女性)
「良策が種痘を知る第一歩を作った人物として印象に残りました。また、オランダ医学の理解者として、良策の種痘に協力するところに人柄のよさが伝わってきました」(10代・男性)
このほか、三浦貴大演じる良策の友人で日野への仲介をしてくれる藩医の半井元冲に、「近くて支えてくれる友人がとても力になりました」(50代・男性)という声も。三木理紗子が演じた疱瘡にかかりながらも生き残り、劇中で見事な歌声を披露する村娘はつが印象に残ったという、「自分一人だけ生き残ってしまったことにとても後ろ向きだったはつが、結婚し、子を持ち、自分の人生に意味を見いだすようになり、それを共に喜ぶ良策の姿が見られてよかったです」(30代・女性)、「歌声が清らかでとても印象に残りました」(50代・女性)といったコメントが寄せられている。