ワクチン普及の功労者!江戸時代の町医者夫婦の奔走に感動が止まらない…『雪の花 ―ともに在りて―』を時代劇ビギナーはどう観た?

コラム

ワクチン普及の功労者!江戸時代の町医者夫婦の奔走に感動が止まらない…『雪の花 ―ともに在りて―』を時代劇ビギナーはどう観た?

時代劇ならではの美しい四季折々の風景に魅了される

本作で監督を務めているのは黒澤明作品に携わってきた小泉監督だが、さらに撮影の上田正治、美術の酒井賢、照明の山川英明といったスタッフ陣も、同じく黒澤監督をはじめ巨匠たちの現場を支えてきた練達たち。さらに、劇伴はNHKスペシャル「映像の世紀」のテーマ曲「パリは燃えているか」でも知られる加古隆が手掛けおり、時に静謐に、時に壮大に、物語に彩りを与えている。

劇中には、江戸時代を生きる人々の所作&佇まいがもたらすリアリティ、マイナスイオンがスクリーンからも伝わってくる青々とした山林や清らかな小川、厳しい冬の雪山まで、日本の美しい四季折々の風景が広がっている。観客たちはこういった時代劇ならではの魅力にも引き込まれたようだ。

「日本の自然の厳しさ、美しさが印象に残っている。まるで遠くに旅をしたような気持ちになれる作品」(50代・女性)
「内容が重く難しいイメージでしたが、歴史がわかりやすく理解できました」(20代・女性)
「歴史のなかで人々がどんな想いで生きていたか、もっと知る機会を設けたいと思えた」(30代・女性)
「独特のテンポが逆に新鮮でした。現代の早いテンポとは違い、特に日本語の美しさを感じることができた」(50代・女性)
「時代劇はあまり観てこなかったのですが、今回のように現代社会に影響を与えた実在の人物や行動に迫った物語は興味深いです」(50代・女性)

四季折々の日本の風景が映しだされる
四季折々の日本の風景が映しだされる[c]2025映画「雪の花」製作委員会

さらに、時代劇に対する、難しくて堅苦しいのでは?というイメージも覆されたようで、以下のようなコメントが確認できる。

「時代劇を映画で観ることが初めてでしたが、この作品を機に選択肢に入れてもいいと思った」(40代・女性)
「時代劇と現在を比べることで新たな発見があるところが魅力」(30代・女性)
「刀が時代劇のイメージでしたが、こういうのもあるんだなと思いました」(30代・女性)
「現代にも通じる学びというメッセージ性が感じられた」(40代・女性)
「とてもわかりやすい言葉かつ起承転結のある見応えあるストーリーだった」(20代・女性)

吹雪が吹き荒れるなかでの山越えが決行される
吹雪が吹き荒れるなかでの山越えが決行される[c]2025映画「雪の花」製作委員会

現代に通じるメッセージも!時代劇初心者が感動した理由とは?

主人公である良策を軸に天然痘との闘いの歴史を描く本作。そこに内在する誰かを助けたいという想いや命の大切さ、夫婦の絆、人間としての在り方などは、現代を生きる私たちの心にも深く突き刺さるメッセージとして受け止めることができる。最後に、試写会参加者がこの作品から感じ取ったこと、これから観る人たちへなにを伝えたいと思ったかを紹介したい。

「いまの医療は昔の人の苦労が積み重なってできている。ワクチンへの考え方、正しさとはなにかを考えることの意味を改めて見つめ直すきっかけとなる作品」(20代・女性)
「人生の物語である。いつの時代も、人は人とのつながりを大切にすることを伝えている」(40代・女性)
「登場人物の台詞からも、生きる意味と現代の苦難に立ち向かう勇気や励ましをもらった気がします」(20代・女性)
「いまも昔も人は変わらない、必死に生きている」(40代・女性)
「現代の医療の発展にはこのようなすばらしい人たちがいてこそだと思える」(50代・女性)
「コロナ禍に通じるところもあって興味を引かれました」(20代・女性)
「タイトルに深い意味が込められており、その意味に気づいた時、主人公の感情が理解できる」(30代・男性)

時代劇初心者にもオススメ!『雪の花 ―ともに在りて―』は1月24日(金)公開
時代劇初心者にもオススメ!『雪の花 ―ともに在りて―』は1月24日(金)公開[c]2025映画「雪の花」製作委員会

病に苦しむ人々を救うため、身命を賭して闘い続けた笠原良策と妻の千穂、日野鼎哉ら町医者たちの姿を描く『雪の花 ―ともに在りて―』。不治の病に立ち向かった彼らのドラマは現代社会に通じるところも多いはず。本作を通して時代劇の魅力もぜひ感じ取ってほしい。


構成・文/平尾嘉浩

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