激動のフランスを生き抜く人々を描く『ベルサイユのばら』革命の時代を知るためのキーワードを復習

激動のフランスを生き抜く人々を描く『ベルサイユのばら』革命の時代を知るためのキーワードを復習

フランス革命をより深く知るためのキーワード

身分によって区別される議会「三部会」

剣術の稽古を行うなど、切磋琢磨しながら成長してきた2人
剣術の稽古を行うなど、切磋琢磨しながら成長してきた2人[c]池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会

当時のフランスは、国民を「聖職者」「貴族」と、それ以外の人々で構成される「第三身分(=平民)」に区別していた。アントワネットやオスカル、フェルゼンなどは貴族階級であり、オスカルの乳母の孫であるアンドレ(声:豊永利行)、オスカルと革命を結びつけるきっかけとなる新聞記者のベルナール(声:入野自由)は第三身分にあたる。この三つの身分で議会が構成されていたが、その票数は「”一身分”につき一票」。少数派になってしまう平民の意見が通ることはなかったと思われる。

特権階級である「貴族」

オーストリアから14歳の時にルイ16世に嫁いできたアントワネット。人を惹きつける魅力を放つ
オーストリアから14歳の時にルイ16世に嫁いできたアントワネット。人を惹きつける魅力を放つ[c]池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会

貴族とは、アントワネットの取り巻きであった貴婦人たち(宮廷貴族)のようなわかりやすい貴族だけではない。司法に関する官職に就くことで身分を保障される「法服貴族」や、進歩的な思想を持つ者も多い「自由主義貴族」、さらに貴族の身分はないものの商工業で成功したブルジョアジー(商業貴族)もおり、地位として劣るものの経済力では困窮した貴族よりもはるかに裕福であることも多く、経済的な“ねじれ”もあった。

「近衛隊」と「フランス衛兵隊」

フランス衛兵隊に移るや隊員たちから反発を受けるオスカルだが、しだいに信頼を深めていく
フランス衛兵隊に移るや隊員たちから反発を受けるオスカルだが、しだいに信頼を深めていく[c]池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会

王室に仕える「近衛隊」。オスカルは将軍家の末娘でありながら、その武勇を買われ若くして近衛連隊長に任ぜられ、アントワネットの護衛にあたる。一方、「衛兵隊」は近衛隊のもとに連なる歩兵隊で、のちにバスティーユ牢獄の襲撃を成功させる大きな鍵となる存在。オスカルは革命の直前にアントワネットのもとを離れ、この衛兵隊へと身を移している。

物語の背景を知って、作品をより深く楽しもう!

運命の出会いを果たしたフェルゼンとアントワネットは交流を重ねるように
運命の出会いを果たしたフェルゼンとアントワネットは交流を重ねるように[c]池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会


幼くして異国へ嫁いだマリー・アントワネットに訪れる身を焦がすような恋。男性のように育てられながらも自身に眠る女性の声に身を委ねるかどうか迷い、自分の道を模索するオスカル。「ベルサイユのばら」は彼女たちを中心に、多くの登場人物のドラマにあふれている。その背景はどのような時代だったのか。フランス革命の直前から革命期にかけて、王室や民衆たちの心はどのように動いていたのかを知ることで、この作品のおもしろさや魅力もさらに増すことだろう。

文/藤堂真衣

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