「自分とは異なる発想での映画化」「昔の自分を思い出す」…名曲から生まれた映画『大きな玉ねぎの下で』が“中高年”の心に刺さる理由とは?
ペンフレンドと大きな玉ねぎの下(武道館)で初めて会うことを約束した男性の目線から歌うせつないバラードソング、爆風スランプの「大きな玉ねぎの下で」。多くのアーティストに歌い継がれてきたこの名曲にインスパイアされ、手紙やノートでの交流を通じた男女の恋模様を紡ぐ『大きな玉ねぎの下で』が2月7日(金)より公開される。MOVIE WALKER PRESSでは公開に先駆けこの話題作の試写会を実施したところ、
「爆風ファンとしては最高の映画でした。映像と楽曲がとても合っていました。心が揺さぶられました」(50代・女性)
「小さな笑いと大きな感動を起こす作品!若者世代向けに見えるが爆風スランプ世代も楽しめます」(40代・男性)
「ファン必見!サンプラザ中野くんが嗚咽した感動を見逃すな!」(40代・女性)
など、ひと足早く鑑賞した爆風スランプファン、原曲ファンから熱いメッセージが届いている。SNSで簡単に人とつながれる時代に、手書きの文字を通じて関係を築いていく様子が新鮮な本作の見どころを、観客のコメントと共にここでは深掘りしていきたい。
どこか懐かしい…手書きの文字が紡ぐ令和と平成の時代を舞台にした恋の物語
夜はバー、昼はカフェになる「Double」でそれぞれ働く、将来に希望の持てない⼤学4年⽣の丈流(神尾楓珠)と、丈流とは対照的に⾃分の夢をまっすぐに追う看護学⽣の美優(桜田ひより)。“夜の人”と“昼の人”をつなぐのは連絡用ノートで、最初は業務連絡だけだったが、しだいに趣味や悩み相談が綴られるようになっていく。会ったことがないからこそ素直になれた2人は、お互いに好きな歌手の武道館コンサートで会うことを約束するが、実は関係が最悪な顔見知りだったことが判明してしまう。
一方、そんな2人が好きなアーティスト、A-ri(asmi)によるラジオ番組では、ナビゲーターを務める大樹(江口洋介)の口から30年前のとある文通エピソードが語られ…、ペンフレンドのせつない恋を歌った「大きな玉ねぎの下で」同様に、令和と平成の時代を舞台に、2組の男女が手書きの文字を通じて顔も知らない相手に恋する様子が綴られていく。
「テキストをすぐに送り合える令和で、どうやってペンフレンドを成立させるのか気になっていたが、思いもよらない方法に唸った。ワクワクしながらノートをめくる2人が微笑ましかった」(40代・女性)とあるように、“連絡ノート”というアナログな手段によって紡がれていく恋について、
「翌日以降しか返事は受け取れないが、待っている間にどんな返事が書かれるか妄想に浸る時間も幸せに思えます」(50代・男性)
「スマホの時代だけど敢えてノートでやりとりをするところにコミュニケーションの原点を感じたし、直筆のメッセージやイラストの温かさを改めて感じることができた」(50代・女性)
「スマホが当たり前の世代なので、連絡ノートでの出会いやスマホの連絡先を知らなくても出会えるところが運命的でよかった」(30代・女性)
など、不便だからこその温かみやリアルタイムでのコミュニケーションでは味わえないときめきを感じたという言葉が多く並んでいた。一方で、平成を舞台にした2人が紡ぐ文通文化については、甘酸っぱいあのころの記憶が蘇ったといった自分の経験と照らし合わせながら懐かしむ声も。
「昭和から平成に変わるころは私もちょうど学生で似たようなシチュエーションが多かったので、観ていて共感できるものが多く、昔の自分を思い出すことができてうれしかった」(50代・男性)
「スマホがない時代だからこそのもどかしさやワクワク感がよかったです」(50代・女性)
「懐かしいよき時代を思い出す」(50代・女性)
「私と家内も4年におよぶ文通の末結ばれたので、当時を思い出し感動はひとしおでした」(50代・男性)
2組の男女の意外なつながりが明かされるなど、2つの時代が交錯するからこその感動が描かれる本作だが、そのなかで浮かび上がるのはどの時代でも変わらない、人を想うという普遍的なメッセージ。2つの時代を知っているからこその感想も多く見られた。
「時代は違っても素直になれないもどかしさは普遍なんだなと感じました」(40代・女性)
「昔といまがリンクしていて、昔を知っている自分は懐かしさも感じました。心揺さぶられ楽しかったです。学生のころの会えてない友人に会いたくなりました」(40代・女性)
「どちらの時代もよく理解できる年齢なのでとても沁みました。昭和が終わり平成になった時のあの感じ、よく覚えています。令和パートはまさに息子の世代なのでとても身近。両得です(笑)」(50代・女性)