サンダンス映画祭でお披露目!気鋭スタジオA24新作タイトルと現地批評家の反応をチェック
“インディペンデント映画の祭典”として1978年にスタートし、近年では『コーダ あいのうた』(21)など翌年のアカデミー賞で注目を集めるタイトルがいち早く紹介される場として注目を浴びるようになったサンダンス映画祭。今年も現地時間1月23日に開幕し、世界中の国と地域から150本を超えるインディペンデント系の長編・短編がラインナップされている。
本稿では、そのなかから気鋭のインディペンデント系スタジオ「A24」が手掛けた作品をピックアップ。今回のサンダンス映画祭でプレミア上映を迎える3作品の作品情報と、現地批評家からのリアクションを最速でお届けしていこう。
過去には『ミナリ』(20)や『パスト ライブス/再会』(23)がサンダンス映画祭でプレミア上映され注目を浴び、そのまま1年後のアカデミー賞で作品賞にノミネートされた実績があるA24。そうした批評家から愛される作品はもちろんのこと、昨年は『I Saw the TV Glow』をはじめとしたジャンル映画も、このサンダンス映画祭をきっかけに映画界から注目を集めた。
少女と神秘的な生物の冒険を描く『The Legend of Ochi』
まずはビョークやグリズリー・ベアといった人気アーティストのミュージックビデオを手掛けてきたアイザイア・サクソン監督の長編デビュー作となったファンタジー・アドベンチャー『The Legend of Ochi』(4月25日北米公開予定)。
カルパチア島の人里離れた村で暮らす、内気な農家の娘ユリ。彼女は地元の人々から悪魔とみなされている神秘的な霊長類“オチ”を恐れるよう教えられて育てられてきた。そんなある時、彼女はケガをした赤ん坊のオチを見つけ、家族のもとに返すための冒険に出発することとなる。
『この茫漠たる荒野で』(20)のヘレナ・ツェンゲルが主演を務め、共演にはエミリー・ワトソンやウィレム・デフォーといった大御所俳優に、「IT/イット」シリーズや「ゴーストバスターズ」シリーズのフィン・ウォルフハードら。またエグゼクティブ・プロデューサーには「アベンジャーズ」シリーズのルッソ兄弟が名を連ねている。
すでにサンダンスで2回上映された本作は、批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価は73%とまずまず。ツェンゲルやデフォーらの演技や、魅力的な世界観を構築する視覚効果に好評が集まっているようで、人形劇やアニマトロニクス、マットペインティング、3Dアニメーションを駆使して作りあげた親しみのある雰囲気からは、「ネバーエンディング・ストーリー」のような80年代の名作冒険映画を彷彿させるという声も。
ちなみにサクソン監督は現地メディアのインタビューのなかで、本作を手掛けるにあたって『E.T.』(82)や『となりのトトロ』(88)といった不思議な生物と遭遇する子どもたちの物語を参考にしたり、『ウィロー』(88)などのファンタジー映画や『雨月物語』(53)、『怪談』(65)、『もののけ姫』(97)といった日本映画からも影響を受けたことを明かしている。これは日本の映画ファンにとっても注目の作品となりそうだ。