サンダンス映画祭でお披露目!気鋭スタジオA24新作タイトルと現地批評家の反応をチェック
A24ホラーの新境地!豪華キャスト共演の『Opus』
続いては、ファッション誌「GQ」の特別プロジェクト編集者としてそのセンスを発揮してきたマーク・アントニー・グリーンが長編監督デビューを飾るスリラー映画『Opus』。主演を務めるのは「一流シェフのファミリーレストラン」(ディズニープラスにて配信中)でシドニー役を演じブレイクを果たしたアヨ・エデビリだ。
作家として活躍するアリエル(エデビリ)は、30年前に謎の失踪を遂げた伝説のポップスター、アルフレッド・モレッティ(ジョン・マルコヴィッチ)の人里離れた邸宅に招待される。そこにはモレッティの熱狂的な信奉者や彼の復帰を楽しみに待つ仲間たち、さらには酔っ払ったジャーナリストたちがおり、アリエルはモレッティの歪んだ計画の中心にいることに気付いてしまう。
エデビリやマルコヴィッチのほかにも、オスカー候補経験のあるジュリエット・ルイスや、エミー賞受賞俳優であるマレー・バートレット、トニー・ヘイル、『プレデター:ザ・プレイ』(ディズニープラスにて配信中)のアンバー・ミッドサンダーらが共演。1月27日に上映が行われたばかりでまだレビューは少ないが、「ポップカルチャーのファンダムをめぐる現状やジャーナリズムの誠実さなどを語る興味深い作品」といわれている。
A24ホラーの新境地として制作段階から注目を集めてきた本作は、3月14日(金)に北米公開される。
ローズ・バーンの熱演に高評価!『If I Had Legs I'd Kick You』
そして3本目は奇病を抱えた娘の子育てや夫の不在、セラピストとの軋轢など、さまざまなトラブルを乗り越えようと奮闘する母親の姿をコメディタッチに描いた『If I Had Legs I'd Kick You』(2025年北米公開予定)。
メガホンをとったのは、グレタ・ガーウィグが出演したマンブルコア映画『Yeast』(08)を手掛けたメアリー・ブロンスタイン監督で、同作以来17年ぶりの監督作となる。主人公のリンダ役を演じたのは「X-MEN」シリーズや「インシディアス」シリーズのローズ・バーン。共演には「サタデー・ナイト・ライブ」などで知られるコナン・オブライエンや、ラッパーのエイサップ・ロッキーと多彩な顔ぶれが。
「ロッテン・トマト」では、批評家からの好意的評価の割合が89%と、かなりの高評価を獲得。「Indiewire」の有名批評家デヴィッド・エーリッヒが「怖いはずのものがおもしろく、おもしろいはずのものが恐ろしい」と評価するように、リアリティたっぷりに演出された主人公の緊張と不安、そしてそれを体現するバーンの演技に評価が集中。もしかすると、来年の賞レースで注目を集める1本となるかもしれない。
サンダンス映画祭でお披露目されるこの3本以外にも、2025年に複数の注目作が控えているA24。ヒュー・グラント初のホラー映画となる『ヘレティック』(原題)、『X エックス』『Pearl パール』(ともに22)に続く三部作の最終章となる『MaXXXine』など、注目作が続々日本上陸を果たす。今後もA24作品から目が離せなくなりそうだ!
文/久保田 和馬