2~3割のミニシアターが閉館を検討…映画ファンの想いを届けるプロジェクト「#ミニシアターへ行こう」とは?
アパートを映画館に?独創的なアイデアが詰まったプロジェクトたち
すでに2つのプロジェクトで目標達成している「#ミニシアターへ行こう」。プロジェクト第1弾として行われた、日本最古級の映画館として知られる新潟県の「高田世界館」では、デジタル映写機の交換費用の補填に加え、上映環境の上質化を目指してスクリーンなどの設備更新や新事業の創設などが方向性として掲げられた。そして1253万4500円という、目標金額の850万円を大幅に上回る支援金が集まりクラウドファンディングは無事達成となった。また、今年で創立30周年を迎える静岡市唯一のミニシアター「サールナートホール/静岡シネ・ギャラリー」も、映写設備の更新やその工事にかかる費用等を募り、1000万円の目標金額に対して1303万5000円が集まった。
そして、高田世界館や静岡シネ・ギャラリーのような「次なる10年、20年に向けて動きだすため」の支援だけでなく、ミニシアターの概念を打ち壊すような独創的なアイデアに挑戦する新規プロジェクトも進行中だ。ここでは、現在クラウドファンディング実施中となっている3つのミニシアターについて、魅力の一部紹介していこう。
●豊岡劇場(兵庫県)
1927年に芝居小屋として開業し、戦時下の営業停止などを経て1951年ごろから映画館として歩み始めた「豊岡劇場」は、兵庫県北部唯一の映画館。デジタル化への移行の波のなかで2012年に一度幕を下ろしたものの、2014年に“映画だけじゃない映画館”として生まれ変わり復活。徐々に入場者が増加した矢先、コロナ禍に見舞われ2022年に休館。その後、新たな運営組織として一般社団法人「豊岡コミュニティシネマ」が設立され、2023年3月に再び復活を果たした。
あと2年で100周年を迎える豊岡劇場のプロジェクトは、まもなく交換のタイミングが訪れるデジタル映写機の買い替えで安定した上映環境を維持し、地域の文化的拠点として次なる10年も継続していくことを目指すというもの。支援金の目標金額は850万円で、それを上回った場合はバリアフリー化を実現するために使用されるとのこと。現在集まっている金額は367万8333円(1月31日17時00分時点)で、プロジェクトの実施期間は2月28日(金)23時59分までとなっている。
●OttO(埼玉県)
既存の映画館を維持するだけではなく、新たなミニシアターをつくるプロジェクトも進行している。そのひとつが、埼玉県さいたま市を代表するターミナルである大宮駅の西口に、カフェとシェアハウスを併設した映画館を建設するという「OttO」のプロジェクトだ。かつては12の映画館が営業していた大宮エリアだが、現在は映画館が1つもないという。また、さいたま市は全国の政令指定都市のなかで唯一ミニシアターのない市でもある。
発案者である今井健太は、祖父母の代から続くアパートの建て替えに合わせ、地域の人々が集える場所として“複合施設”という斬新なアイデアを着想。それに共鳴した仲間たちと共にコロナ禍から話し合いを重ね、今年春のオープンに向けて計画は佳境に差し掛かっている。目標金額は850万円で、現在集まっているのは331万8000円(1月31日17時00分時点)。こちらのプロジェクトも2月28日(金)23時59分まで実施されている。
●Theater Aimyou(大阪府)
大阪の心斎橋にあるアメリカ村に2025年5月に開業を目指している「Theater Aimyou」は、店舗経営やイベント制作、プロデュース業などを行うA NEWYOU株式会社が立ち上げる、“原点・アジトのような遊び心あるニューミニシアター”。大阪未上映の作品や短編映画、再上映作品などを積極的に上映し、大阪から映画カルチャーを盛り上げていくことを目指している。
また作品の上映だけではなく、トークイベントやLIVEイベント、映画上映と空間を連動したりコラボカフェやアート展などの連動スペースを設けたり、ワークショップを実施するなど、作品と人が息づく場所として、ミニシアターの新たなかたちへの挑戦がとなっている。こちらのプロジェクトは3月31日(月)23時59分まで実施中だ。
この3か所以外にも、現在新たなクラウドファンディングのプロジェクトを検討しているミニシアターも。参加状況は「#ミニシアターへ行こう」特設サイトの劇場一覧ページから確認できるので、ご近所や地元のミニシアター、思い出のあるミニシアターなど、“推し映画館”の状況をチェックしてみてはいかがだろうか。