「期待通り、ではなく期待以上」「涙が何度も何度も止まらない102分」…『野生の島のロズ』は泣ける!
ドリームワークス30周年を彩る躍動感あふれる映像、アカデミー賞ノミネートの音楽にも注目
本作の監督を務めたクリス・サンダースは『リロ&スティッチ』のほか、「ヒックとドラゴン」シリーズ、ハリソン・フォード主演の実写映画『野性の呼び声』(20)も手掛けている俊英。エモーショナルなドラマを作り上げる手腕は抜群で、劇中では47種類の動物、28,710羽もの雁の群れがいきいきとスクリーンを駆け巡っている。さらに、海や川、森林などの自然の描写にも思わず息をのむ美しさにあふれ、紅葉や吹雪吹き荒れる冬の厳しさといった四季折々の情景にも圧倒されてしまう。
「絵本のようなタッチでそのままアニメーションとなって動くところにすごくワクワクした。『カンフー・パンダ』や『ヒックとドラゴン』みたいに、子供を連れて観にきた親の方がやられてしまうタイプの映画」
「何度も心震える瞬間があり、その度に全身がスクリーンに映る美しい世界に溶けていって、空を飛んでいるような気持ちになりました。ドリームワークス30周年の記念作品にふさわしい傑作アニメーションです」
「本当に画が美しく、コンセプトアートや絵画がそのまま動きだしたかのようです。動物の毛並みの質感はもちろん、季節ごとの植物や風景、空気感など、オペラグラスを使っても見応えがありそうなくらい丁寧に描かれています」
また劇伴を手掛けたのは、『グリーンブック』(18)、『ドリームプラン』(21)といったアカデミー賞受賞作品の音楽を生みだしてきたクリス・バワーズ。ジャズミュージシャンとしてのバックグラウンドを持つバワーズだが、本作では子育てに奮闘するロズや、うまく泳いだり、飛ぶことができず思い悩むキラリに寄り添い、渡りのシーンでは壮大にその旅路を盛り上げるなど映画音楽としての在り方をさらに進化させ、アカデミー賞でも作曲賞にノミネートされている。さらに、多くの観客はマレン・モリスが歌う「Kiss The Sky」や「Even When I'm Not」などオリジナルソングにも心が揺さぶられたようだ。
「いままで観たドリームワークス作品のなかで一番好きです。美しい映像表現に、場面にマッチしたクリス・バワーズの音楽。表情がないのに感情豊かになっていくロズ。すべてが最高でした」
「映像が色鮮やかで本当に素晴らしいし、そこに力強い音楽が合わさって何回も泣かされました。本当に素晴らしい映画でした」
「言えることは本当に最高で期待以上。特に『Kiss The Sky』が流れるシーン。今日は感情ぐじゃぐじゃで寝ます」
ロズの球体型の胴体や長い手足、二つの丸いレンズが目を引くシンプルな顔立ちは、どこか『天空の城ラピュタ』(86)に登場したロボット兵を思わせる。それもそのはずで、このほかにもノスタルジーを感じさせる森の風景は『となりのトトロ』(88)に通じ、躍動感ある動物たちの動きは『バンビ』(42)、さらには映画だけでなくクロード・モネの絵画にいたるまで、様々なものからインスピレーションを受けているという。スタジオジブリ作品から古典的名作まで、慣れ親しんできたものに触れる感覚があるところもまた、本作が観客の心に深く突き刺さる要因になっているのかもしれない。