結婚30年目の佐々木健介&北斗晶が『35年目のラブレター』の夫婦愛に感銘!「自分たちとものすごく重なりました」
「理想の夫婦像はない!」(北斗)
――こうしてお話を伺っていても、劇中の西畑夫妻と同じようにユーモアと笑顔が絶えず、本当にステキなご夫婦だなと思います。お2人にとって“理想の夫婦像”はありますか?
北斗「理想の夫婦像というものは、ないです。私には私の歴史があって、健介には健介の歴史があって、その2人から出来上がる歴史があって、いまがある。『こういう夫婦になりたいな』と思っても、なるようにしかならないものですよね。いいこともあれば、悪いこともいっぱいありましたが、結婚してからの30年は本当にあっという間で。ありがたいことに子どもたちも立派に育ちましたが、子育てを振り返ってみても思い出せないことばかりです。それくらい一生懸命だったんですね。そうやって生きていくことで、どの夫婦にもその2人にしか作れない夫婦像ができていくものなんだと思います」
佐々木「僕が一つ感じているのは、北斗のお父さんとお母さんを見ていると『いい夫婦だな』ということ。基本的にお母さんのほうが強くて、ガーッと行く。お父さんはそれを黙って聞いているという感じなんです。でもお母さんは『うちのお父ちゃんはすごいんだよ。偉いんだよ』ときちんと言葉にするし、ふと気づくとお互いを認め合い、助け合っている。すごくいいなあと思うんです。いろいろな経験を重ねてきている2人なので、旦那としても勉強になります」
――西畑夫妻はお互いの存在を力にして、前に進んでいきます。お2人も「この時は相手の支えにとても助けられた。その支えがあったからこそ前に進めた」と感じたようなご経験があれば教えてください。
佐々木「一人ではどうしようもない時に、やさしく言ってくれることもあれば、厳しく言ってくれたりする時もあったり…」
北斗「厳しく、厳しく、厳しくな(笑)!」
佐々木「ムチ、ムチ、ムチ、ムチ、飴という感じ(笑)!特に思い出すのは、僕が新日本プロレスという団体を辞めて、一人でやっていこうと決めた時があって。そうなると選手として戦うだけではなく、交渉などのマネージャー的な仕事をいろいろとやってくれる人が必要になりますよね。彼女はそれを全部こなしてくれて、ものすごく助けられたなと思っています。関係性によっては言いたいことも言えなかったりするけれど、夫婦ならばあらゆることが言えて、それをわかり合うことができる。彼女がいてくれたから僕も力が出せた。夫婦で戦ってきた時間は、自分にとってすごく大切なものになっています」
北斗「映画のなかでは、定年退職を迎えた保さんが、もう少し働くかどうか悩むシーンがありましたよね。皎子さんは『自分で決めていいんじゃない?』と声をかけますが、あれは女房のやさしさというより、強さだと思いました。その強さは私もとても共感するところで、健介の仕事がなくなった時にも『子どもも小さいし、明日からどうするの?』と泣いてしまうような女房ではいたくなかった。だって明日からどうしたらいいのか一番わからないのは、本人ですから。そして、私は病気をした時に相手の支えを感じましたね。劇中では、皎子さんが退院をしてきたシーンで、タクシーを降りる皎子さんを、保さんがそっと支えていました。私も同じような経験をしたのでものすごくグッときました。それに健介が『これはどこだっけ』『あれはどうしたっけ』といちいち聞いてくるので、『コイツは私がいないとダメだな。くたばっている場合じゃないな』と思うこともありました(笑)。そうやって考えてみても、これまでの結婚生活は本当に山あり、谷あり。理想の夫婦像を考えてみてもしょうがなくて、やっぱり目の前の問題を乗り越えると言うより、薙ぎ倒していくしかないんです」