”ラブストーリー”の1.2位奪取は4年振り!『ファーストキス 1ST KISS』が首位返り咲き、中島健人主演『知らないカノジョ』は2位デビュー
2月28日から3月2日までの全国映画動員ランキングが発表。坂元裕二が脚本を務め、松たか子と松村北斗が共演した『ファーストキス 1ST KISS』(公開中)が、公開4週目にしてNo.1に返り咲きを果たした。
『知らないカノジョ』が『366日』超えのオープニング!
『ファーストキス 1ST KISS』の週末3日間の成績は、観客動員14万2000人で興行収入は2億400万円。前週の成績と比較すると、映画サービスデーと重なったこともあり興収は80%だが、動員は84%。しかも公開初週末との比較でもいまだ82%の動員を維持しているという驚きの安定感。累計成績では動員117万人、興収16億円を突破しており、まだまだその数字を伸ばしそうだ。
一方、惜しくも2位スタートとなったのは、中島健人が主演を務めmiletが映画初出演でヒロインを務めた『知らないカノジョ』(公開中)。ユーゴ・ジェラン監督のフランス・ベルギー合作映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋の終わりから』(19)を原作に、三木孝浩監督がメガホンをとったラブストーリーだ。初日から3日間の成績は動員11万9000人で、興収は1億5800万円を記録している。
ここ最近、日本の実写ラブストーリーが活況を見せているが、こうして動員ランキングでこのジャンルの作品が1位と2位を飾るのは2021年の2月以来。1月から続いている『366日』(公開中)のヒットと、『ファーストキス 1ST KISS』のヒット、必ずしも客層が一致するわけではないが、こうした“泣けるラブストーリー”を求める観客層で共通している点で、現在のラブストーリーブームが『知らないカノジョ』にも好影響を与えていると考えられる。
しかも『ファーストキス』と『知らないカノジョ』は近年の同ジャンルで増加傾向のファンタジー要素が含まれ、『ファーストキス』と『366日』は定番である主要登場人物の生死がカギとなり、『366日』と『知らないカノジョ』は楽曲が感動を後押しするなど、各作品同士の共通項も見受けられる。それぞれの公開間隔のバランスもちょうどよく、劇場で流れる予告編が作品へのリーチに効果的に働いていると思えるあたり、なかなか興味深い連鎖といえよう。
とはいえ『花束みたいな恋をした』(21)や『あの花の咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23)など、この2020年代のラブストーリーブームを牽引する作品の多くが、どういうわけか1月から3月にかけての公開作(『あの花』は12月公開だったが、年明けに強さを発揮した)に集中している点が気になるところ。このブームが一過性のものではなく、2000年代の純愛ブームや2010年代の少女漫画映画ブームのように日本映画の潮流と呼べるものになるためには、春先以降もヒットするラブストーリーが生まれる必要があるだろう。
閑話休題。『知らないカノジョ』の初動成績は、ジャンル違いなので参考外かもしれないが、中島の主演前作『おまえの罪を自白しろ』(23)対比140%。また先述の『366日』の初動成績(具体的な数字は発表されていなかったが、公開4週目に初週末対比161%で18万1000人の動員だったので、11万人強と推測できる)をも上回っている模様。つまり現在のブームに乗ることができれば、がつんと伸びる余地があるということだ。