山田涼介&本田翼『ハガレン』実写化は「パンドラの箱を開けるような感覚」

インタビュー

山田涼介&本田翼『ハガレン』実写化は「パンドラの箱を開けるような感覚」

荒川弘による大人気コミックを実写映画化した『鋼の錬金術師』が、12月1日(金)より公開となる。全世界シリーズ累計発行部数は7000万部超という、驚異的な数字を記録している本作。それだけに数ある漫画原作の実写化作品の中でも、注目度は抜群だ。何を隠そう、主演の山田涼介と本田翼も熱烈な原作ファン。「『鋼の錬金術師』の実写化は“パンドラの箱”を開けるような感覚だった」という並々ならぬ原作愛と実写化へのプレッシャーについて、思いを明かしてもらった。

本作は、亡き母を生き返らせようとするが、人体錬成に失敗した兄・エドと弟・アルが、すべてを取り戻すために旅を続ける姿を描くファンタジー・エンターテインメント作品。山田は“鋼の錬金術師”の異名を持つ天才錬金術師のエド役。本田がエドとアルを支え、見守り続ける幼なじみ・ウィンリィを演じている。

山田も本田も「連載当初から原作を読んでいた」と告白する。山田は「子どもながらに色々なことを考えられる作品でした。大人になって読み返しても、また違った角度で見られる。ものすごく魅力の詰まった作品」と惚れ込んでおり、だからこそエド役への抜擢は「もちろん、ものすごくうれしかったんですが“パンドラの箱”を開けるような感覚もあって。僕がやって大丈夫かなと思いました」と不安もよぎったという。

それを払拭してくれたのは、曽利文彦監督らが制作したデモムービー。「オファーの段階で映像を見せていただいて“これは大丈夫だ”という確信を持ちました」と監督の作り出す世界観のクオリティに驚いたそう。さらに「僕にオファーをいただいた意味が必ずあると思ったし、僕が断ったことによって、誰かにこの役が渡ることが許せなかったんです(苦笑)。ものすごく自分の中で葛藤はありましたが、一生懸命に演じさせていただきました」と強い覚悟を明かす。

本田も「自分にウィンリィ役のオファーが来た意味」を噛みしめる。「ウィンリィは、原作を読んでいるみんなが大好きなキャラクター。プレッシャーがありましたし、自分でいいのかなとも思いました。でもオファーのときに“翼の明るさがウィンリィにすごく合っている”と言っていただいて。自分のパーソナルな部分と合っていると言われて、すごくうれしかったんです。依頼してくださった方の気持ちを思い、覚悟を決めました」。

イタリアでもロケを敢行。山田が「エドに関して言うと、赤マントに金髪ですから(笑)。日本ではなじみにくいと思うんです。クランクインがイタリアだったことで、気持ちも入りやすかったし、すごくよかったなと思っています」と言うと、本田も「日本であの格好をして歩いていたら、ちょっと引いちゃうもんね」と笑い合うなど、息ぴったり。

山田は「本田さんの底抜けの明るさがあったから、現場が華やかになった。僕も常にウィンリィと話しているような感覚になったんです。疲れていても、本田さんがいるとそれも忘れるからね」と本田の明るさに大いに助けられたそう。本田は「私、相手が疲れていても、あまり気にしないで話しちゃうから」と言うと、「最低!」と山田。劇中ではエド&ウィンリィの幼馴染のやり取りが、シリアスなストーリー展開の中で非常に心温まるものとなっているが、インタビュー現場で目にした山田と本田は、まさにエド&ウィンリィのコンビ感そのもの。

一体、どのように“幼馴染感”を培ったのだろうか。それは“初対面の出来事”が鍵を握っていた様子。山田が「本当にたまたまなんですが“初めまして”が食事屋さんだったんです。僕は一人で食事屋さんに行って、ゲームをやっていて」と明かすと、本田は「食事屋さんで一人でゲームしているんです。びっくりしますよね」と述懐。

山田は「そうしたら、後ろからポンと背中を叩かれて“今度ウィンリィをやるので、よろしくお願いします”って言われて。それに本田さんは、僕の身長のことをいじってくるんですよ。女優さんで僕をいじってくる人って、初めてだったんです。僕も“うるせぇ”とか言っちゃって(笑)。その時点で、性格もウィンリィっぽいなとわかったし、エドとウィンリィのような雰囲気になれた」と本田の気さくな性格とウィンリィを重ね、すぐさま幼なじみの雰囲気になれたそう。「本田さんがウィンリィでよかった」と笑顔がこぼれる。

本田も「山田くんには“何を言っても大丈夫だろう”という、よくわからない安心感があって。それが話しやすさに繋がったんだと思います」と山田を信頼しきり。「山田くんは芯があって、自分の中でのルールをしっかりと守っているようなところがある。ブレない人。そういう雰囲気は、すごくエドっぽいと思いました」と続けると、山田が「褒めてくれるなんて、珍しい」とニッコリ。本田は「今まで褒める機会がなかっただけ」と照れるなど、引き続き絶妙なコンビネーションを見せていた。

プレッシャーと戦い、絆を育みながら超話題作に挑んだ2人。“等価交換”が本作のテーマともなるが、山田は「僕たちの仕事はある意味、等価交換。自由を奪われている代わりに、人が見られない景色を見せてもらっている」としみじみ。世界190か国以上での公開が予定されている本作を通して、さらに広大な景色を目にするはずだ。

取材・文/成田 おり枝

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