コリン・ファースもびっくり!?撃たれたのに『キングスマン』に再登場した舞台裏を明かす!
スパイ映画に新風を吹き込み、世界中で大ヒットした『キングスマン』(14)。コリン・ファース演じるハリーが、中盤でド派手に撃たれてしまったことはかなりショッキングだったが、待望の続編『キングスマン:ゴールデン・サークル』で、華麗なる復活を遂げた。果たしてコリンの胸中はいかに!? コリンを直撃し、1作目からの撮影を振り返ってもらった。
「前作がめちゃくちゃ楽しかったので、続編の話が来た時、ハリーが殺されて出演できないなんてことは、自分の中で否定し続けていたよ。でも、あれだけ至近距離で頭を撃たれているから、彼をどうやって再び登場させるんだろう?と不思議に思っていた。たとえばフラッシュバックでの登場とか、時代を移して同じ役者だけど違う物語にするとか、いろいろと考えてみたけど、なかなか難しいかなあと」。
ただ、コリンは脚本も手がけるマシュー・ヴォーン監督を信じていて「マシューの頭の中に良い物語が浮かんだら、それに食らいついていこうと思った」と思っていたそうだ。
「もしも『キングスマン』に再びハリーを登場させるのであれば、そこにはちゃんと意味がなくてはいけない。魔法を使って突然戻りました、という描き方は絶対にないから、復活できた理由をきっちりと描かなければいけなかった。実際、劇中ではそこにたっぷりと時間をかけているよ。もちろん僕は戻ってこられて嬉しかったし、マシューと再び仕事ができる喜びも感じていた。それに、マシューは同じような作品を繰り返さない男だと知っていたから、続編は何か違う作品になるという期待感ももっていた」。
今回の続編も予断を許さないストーリーテリングにうなる。いきなりキングスマンの拠点が、謎の敵ゴールデン・サークルの攻撃により壊滅されてしまうというまさかの展開に。残されたエグジー(タロン・エガートン)と、教官兼メカ担当のマーリン(マーク・ストロング)は、同盟を結ぶスパイ機関“ステイツマン”の協力を得るためにアメリカへ向かう。
「正直、続編の脚本を読んだ時も驚いたよ。それは1作目の脚本を読んだ時のリアクションに近かった気がする。1作目の時、マシューから『ハリーが死ぬよ』と聞いてから脚本を読んだけど、まさかこんなに早く、しかも突然死ぬとは思っていなかったから(苦笑)。140ページくらいの脚本の80ページくらいの段階ですでに撃たれていたので、思わず『ええ!? 』と声を上げたんだ」。
その時は戸惑いつつも、マシューの才能に感嘆したそうだ。「マシューは天才的なストーリーテラーだから、いい意味でストーリーを思うように操れるテクシャンでもある。洗練された資質と同時に、いたずらっ子的なところも持ち合わせている点が素晴らしい。彼は映画ファンがどんなものにワクワクするか、また、どういう映画を観たいかを把握している。なぜなら彼自身が映画ファンの1人だから」。
洗練されたアクションはもとより、ギミック満載の小粋なスパイ・ガジェットもパワーアップしている。「ジェームズ・ボンドまがいのスパイ映画的要素がたくさん入っているけど、それは風刺的な要素だけではなく、心から愛してきたスパイ映画に対するオマージュでもある。そしてマシューは、自分の愛しているものを丹精込めて作ってからぶっ壊すことも大好きなんだ」。
オスカー女優のジュリアン・ムーアが、ゴールデン・サークルのボス・ポピー役に扮し、ぶっ飛んだサイコパスぶりを見せている。『シングルマン』(09)で共演したコリンとジュリアンは旧知の間柄で、今回のオファーもコリンから声をかけたそうだ。
「ジュリアンと再び共演できて最高だったよ。彼女とは本当に馬が合うし、共通の友人もたくさんいるし、ユーモアのセンスもすごく似ている。一緒にいて居心地がいい人とする仕事ほど最高なものはないでしょ」。
また、コリンの続編出演といえば、前作から11年ぶりとなったシリーズ第3作『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』(16)も記憶に新しい。彼はどんなポリシーをもって続編に挑んだのか?
「確かに最近、続編ものが増えているのは、僕自身が人生の続編的ステージに入ったせいかな?」と笑うコリン。「続編に出演することは、ある程度リスクも背負うことになる。シリーズに関わる人間は、常にプレッシャーを抱えて臨むことになるし、1本目が成功したから単に2匹目のドジョウを狙うと失敗することが多い。だから僕は、続編を作る目的がはっきりと明確に見えていなければ作れないとも思っている」
「また、1本目を受け入れてくれたファンは、それをベースにした期待値をもって観ることになる。その期待に応えなければいけないが、同じことだけを繰り返してもファンは良しとせず、期待を裏切るサプライズも欲しい。大切なことは、1本目のキャラクターをしっかり見極め、そのエッセンスを上手く形にしていくことかな。ぜひ本作を観て、そこを確かめてほしい」。
取材・文/山崎 伸子