圧巻の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、衝撃の展開を監督に聞く!

インタビュー

圧巻の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、衝撃の展開を監督に聞く!

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のアンソニー・ルッソ監督
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のアンソニー・ルッソ監督

観終わった後、思わず絶句!いよいよ本日4月27日から公開されたマーベル・スタジオ最新作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、すさまじい衝撃作に仕上がっていた。マーベル・スタジオ10周年記念作ということで気合が違う。本作を手掛けたアンソニー・ルッソ監督を直撃し、本作の見どころについて聞いた。

アンソニー・ルッソ監督は弟ジョー・ルッソ監督とタッグを組み、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(14)、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)で、マーベルファンの心を高揚させてきた逸材だ。今回も度肝を抜くようなストーリー展開で、観るものを圧倒させる。

来日したのは、兄アンソニー・ルッソ監督のみだったが、兄弟別々でプロモローションに参加することは珍しいそうだ。「ジョーと僕は常に一緒に行動しているので、僕1人でインタビューを受けること自体、なんだか不自然に感じている。映画業界において、ペアの監督は分業制でやっているパターンも多いけど、僕たちはすべての作業を分けたりせず、一緒に行っているんだ。もちろん、たまにケンカもするけどね」。

最大の危機を迎えるアイアンマン(ロバート・ダウニーJr.)たち
最大の危機を迎えるアイアンマン(ロバート・ダウニーJr.)たち[c]Marvel Studios 2018

本作では、シリーズ最強の敵サノスが出現し、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーやドクター・ストレンジら新たな仲間たちとともに、人類の命運をかけた激闘が繰り広げられる。

「アベンジャーズ」シリーズで興味深いのは、ただの勧善懲悪の物語ではなく、それぞれが正しいと思う正義感がぶつかり合う人間ドラマに仕上がっている点だ。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』では、ヒーロー同士が考え方の相違からたもとを分かちあったし、ラスボス・サノスの立ち位置においてもしかり。最凶の敵サノスでさえも、私利私欲のために動くわけではなく、確固たる信念に基づいた野望を抱き、死闘を繰り広げていく。

「とことん性根の腐った悪いヤツがヒールだと、あまりにも単調なストーリーになってしまい、おもしろくないでしょう。敵が複雑で多層的であればあるほど、物語に奥深さが生まれると僕は思う。そういう意味では、サノス自身も世の中のために正しいと信じていることをやっている。問題があるとすれば、目的を果たすために使う手段のほうだ」。

アンソニー・ルッソ監督は「そういう争いは、現実社会でも起こっているし、歴史上でも繰り返されている」と指摘する。「自分が正しいと信じてやまないことを達成することで、問題を引き起こしてしまう。敵対しようとする人、それを阻止しようとする人はもちろん、実は問題を起こした本人のなかにも葛藤が生まれているに違いない。僕はそういう構図にとても惹かれるんだ」。

【写真を見る】すごい威圧感!ジョシュ・ブローリン演じるラスボスのサノス
【写真を見る】すごい威圧感!ジョシュ・ブローリン演じるラスボスのサノス[c]Marvel Studios 2018

サノスを演じたジョシュ・ブローリンは、圧倒的な威圧感の中に、壮絶な苦悩を見事ににじませている。ルッソ監督は彼について「ジョシュ・ブローリンは驚異的な役者で、外見的にも内面的にもすごくサノスにマッチしてくれた。サノスはあの恐ろしい外見とは裏腹に、非常に繊細さや弱さをも抱えているキャラクターだが、ジョシュはそのへんのさじ加減もすばらしく表現してくれた。彼の表情から揺れ動く心の機微みたいなものが伝わってくると思う」と褒め称える。

本作では、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のメンバーたちも参戦。特に物語の重要なカギを握るのが、サノスの養女であるガモーラだ。「ガモーラは父親であるサノスに反抗して彼の下を去ったけど、そこにはどうしても断ち切れない父と養女の絆のようなものが存在する」。

アイアンマン役のロバート・ダウニーJr.をはじめ、キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンス、スパイダーマン役のトム・ホランドらオールスターキャストで放つ「アベンジャーズ」シリーズ。当然、各キャラクターのエピソードがそれぞれ描かれているが、決して盛り込みすぎたダイジェスト版になっておらず、絶妙なユーモアも交えつつ、未曾有の危機に直面したヒーローたちの苦悩が浮き彫りにされていく。

「トニー・スタークと(妻の)ペッパー・ポッツの関係性も、非常に重要なストーリーラインとなった。トニーはある意味、人生の転換期を迎えようとしている。彼はヒーローとして生きることより、トニー・スタークとしての私生活を大事にしたいと努めていたところに、サノスたちの襲撃を受けてしまう。だから彼自身も揺れ動いていく」。

また、圧倒的な破壊力を誇るハルクだが、ブルース・バナーがなぜかハルクに変身できずに動揺するというくだりも気になるところだ。「ブルース・バナー役のマーク・ラファロはすばらしい役者で、僕も大ファンなんだ。ヒーローたちのなかでも、特にハルクは複雑なキャラクターだから、彼とは脚本段階でいろいろと話したよ。でも、ロバートも含め、彼らはシリーズを通して長年自分のキャラクターを演じてきたので、僕よりも遥かに役柄のことを知り尽くしている。だから逆に向こうから教えてもらったくらいだよ」。

いまだかつてない規模の激闘が繰り広げられていく
いまだかつてない規模の激闘が繰り広げられていく[c]Marvel Studios 2018

最後にルッソ監督は、本作においての手応えを口にした。「もちろんマーベルのファンの方々全員を満足させることは不可能だけど、私たち自身が大ファンだから、これらの映画を作ることを心から楽しんだし、エキサイトできる作品を大勢の人々と分かち合いたいと思っている。今回もやれるだけのことをやったつもりだ」。

取材・文/山崎 伸子

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