「ポプテピピック」の神風動画に潜入!監督の難題を『ニンジャバットマン』スタッフはどう乗り越えた!?
仮キャストのセリフで映像イメージを膨らませていく
――方向性が固まった後は、具体的にどのような作業に入るのでしょうか?
高木「絵コンテの内容を打ち合わせ、次に絵コンテをムービー化したビデオコンテを作成します。それを基にアニマティクスと呼ばれる、実際にCGでモデリングされたキャラクターを使い、アニメーションを作成していきます。そうやってコンテの絵やCGでのアニマティクスの各工程で、すべてのカットを時間軸で並べ流れやタイミングが適切か検証します」
水野「CGといってもアニマティクスの最初の段階は、作画で言う原画のような位置づけのもので、キーとなる絵だけの動きがカクカクした状態です。そこから、今回は仮のキャストではあるのですが声優さんによって収録されたセリフの音声があったので、それをガイドにしたりしながら、次第に完成映像のようなアニメーションへとどんどん詰めていきます」
監督の難題に知恵と工夫を凝らして応じる
――かっこいい見せ場の連続ですが、何か工夫したことはありますか?
高木「絵コンテを検証する中で、かっこいいなと思うレイアウトはなるべく残しました。中には、絵としては成立してもアニメーションとして動かすと難しいカットもあるんです。例えばバットモービルが走る向こうで、城から巨大なアームが出るシーン。水﨑監督から『ここは1カットで見せたいから、長回しで』と言われ、水野さんに何度も相談しながら作っていきました」
水野「つまりスピードを出して走っているので、カットが長いとバットモービルに相当な距離を走らせなければなりませんから」
高木「どれだけのスピード感で城に近づけるか、この道は坂なのか階段なのか、周囲に何を置けばよいか、そもそも城の近くにそんな場所があるのか…。海外の作品だと設定に沿ってあまり矛盾しないように作るんでしょうが、この作品は絵がかっこいよければいいじゃないかと(笑)。よく見るとだまし絵的なおかしなカットなんですが、日本のアニメならではの表現だと思います」
水野「動きもそうだし、カメラ位置などいろんな要素を実験しては、高木さんに見て頂いての繰り返しでした。まだテスト段階でCGモデルも作り込んでいないので、たとえば両側の壁に石垣の写真を仮で貼り付け、スピード感をチェックしてもらったり。これだったらいけるな、という段階になったら美術さんに背景を発注します」