大泉洋、真木よう子は「かっこいい!」“複雑な恋愛関係”を紡いだ2人の相思相愛
数々の演劇賞に輝いた舞台を映画化した『焼肉ドラゴン』(6月22日公開)で、真木よう子と大泉洋が“複雑な恋愛関係”を紡いだ。「大泉さんには、みんなを包んでくれるような大きさがある」(真木)、「真木さんはかっこいい!」(大泉)と役者としても相思相愛の2人。複雑な恋愛事情への共感度とともに、強くたくましく生きる家族を描く映画にちなみ、彼らにとって前進する力をくれた“大切にしている言葉”を教えてもらった。
物語の舞台は、高度成長期の真っ只中の昭和45年。小さな焼肉店を営む家族が、時代の波に翻弄されながらも力強く生きる姿を描く。鄭義信が映画初監督を務め、自身が作・演出を手掛けた人気舞台を映画化した。
大泉演じる哲男は、真木演じる静花への恋心を抱きながらも、静花の妹・梨花(井上真央)と結婚してしまう。“複雑な恋愛関係”にある2人だ。真木は「静花は、哲男への想いと、妹の梨花を傷つけたくないという、葛藤のなかで生きている女性。ある時、監督に『静花は哲男のことをどれくらい好きなんでしょう?』と聞いたら、『めちゃくちゃ好きだ』と言われて。それはすごく辛いだろうなと思いました」と静花に心を寄せる。
大泉は「『静花のことが好きなのに、なぜ梨花と結婚しちゃうんだろう』と思うけれど、なんだか僕は、そんな哲男の気持ちもわかる気がして」と哲男にシンパシー。「哲男はものすごく優しい男だから、梨花の気持ちに応えたいと思ってしまったんじゃないかな。でも結局、静花のことが忘れられない。その優しさは残酷なもので、もっとみんなを傷つけてしまうんですよね。グダグダでダメなところは、なんだかわかるなあ。もしかしたら僕も、哲男と似たようなところがあるかもしれないなと思いました」。
“特別な恋人”を演じた彼らに共演の感想を聞いてみると、真木は「哲男は大泉さん以外にありえないと思いました。哲男がチンピラのように絡むシーンがあるんですが、そんな場面でも大泉さんが演じると優しさがにじみ出てしまう」とニッコリ。大泉は「マックスで絡みにいってたんだけどなあ(笑)」とぼやきつつ、「真木さんは、男の僕から見てもかっこいい方。演じる時の気合の入り方、本気度なんて、すごいですよ。兄貴!って声をかけたくなるくらい(笑)。真木さんが出番を終えて戻って来ると、『お疲れ様でした!』ってガウンでもかけたくなる(笑)」と話して2人で大爆笑。
役者としても相思相愛の様子で、真木は「大泉さんは現場全体を見てくださっていて、みんなを包んでくれるような大きさがある」。大泉も「真木さんは今回、静花という“耐え忍ぶ”役を演じていらして。その姿がとてもせつなくも、美しくて。どんどん好きになっていってしまうような静花さんでした」とお互いの役者力に惚れ込んでいた。
悲しみ、怒り、喜びとすべての感情をぶつけ合い、生身でぶつかり合う家族が描かれる本作。豪華キャスト陣のエネルギッシュなやり取りが大きな見どころだが、大泉は「大げんかのシーンなんか、スポーツをやっているみたいだったね。本当に体力勝負!プロレスの試合をしているみたいだった(笑)。大変だったけれど、すごく充実感がありますね」と撮影現場を述懐。
真木は「韓国の俳優さんが日本に来てくださっていたので、言葉の壁があるからこそ、お互いをもっと知ろうと積極的にコミュニケーションをとっていたように思います」、大泉も「父親役のキム・サンホさんなんて、僕の北海道でやっているバラエティ番組の話をしたらゲラゲラ笑っていた!『大泉さん、おもしろい!』って(笑)」と続くなど、劇中同様に熱い絆を育んだようだ。
本作で描かれる家族の絆を見ると、前へ進む力が湧いてくる。そんなパワフルな映画に仕上がった。最後に、自身にとって人生の力となった“大切にしている言葉”を明かしてもらった。「友だちにかけられた言葉で心に刺さったものがある」と言う真木は「『いろいろと背負っていると思っていない?支えられているんだよ』と言われたことがあって。家族や子どものことなど、働いている自分が背負っていると思っているんじゃないかって。『ああそうだ、私は支えられているんだ』とハッとしたんです」。
大泉は「美輪明宏さんが『いいことと悪いことは同じだけある』とおっしゃっていて。それを聞いてから、ちょっと考え方が変わりましたね。いまでは悪いことが起きると若干、喜ぶ自分がいます。小さな不幸を貯めるのが好きなんですよ。不幸貯金と呼んでいますが、小さな不幸が貯まると『来てるぞ、来てるぞ!大きな仕事が来るんじゃないか!?』なんて思ったりね。でもすごくいいことがあった時は、このあとに悪いことが起きるんじゃないか?とは考えません(笑)。いいほうにだけ考えます」と教えてくれた。
取材・文/成田 おり枝