“ジュラシック”最新作に秘められたテーマとは?クリプラ&ブライスを直撃!
2015年に全世界で歴史的なメガヒットとなった『ジュラシック・ワールド』の続編『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(7月13日公開)。前作に引き続き主人公オーウェンを演じるクリス・プラットと、クレアを演じるブライス・ダラス・ハワードに直撃インタビューすると、劇中さながらの息の合った見事なコンビネーションを披露してくれた。
スティーヴン・スピルバーグが25年前に制作し、映画の新たな可能性を見出した『ジュラシック・パーク』(93)から始まるシリーズの新章1作目にあたる前作では、ついにオープンした“ジュラシック・ワールド”を舞台に、新種のハイブリッド恐竜“インドミナス・レックス”が逃げだしたことから起こる騒動を描いた。そのなかで、元恋人同士だったオーウェンとクレアは、互いにぶつかりながら協力しあう様が描かれた。
そんな2人の恋の再燃を予感させる結末を迎えた前作から3年を経た本作では、破局を迎えたであろう2人が離れ離れになっているところから物語が幕を開ける。パークのあるイスラ・ヌブラル島に迫る火山噴火の危機から恐竜を救うためにオーウェンのもとを訪ねるクレア。出会って早々口論を繰り広げる2人についてクリスは「この3年の間に2人になにがあったのかというバックストーリーを、自分たちで作り上げながら演技をしていたんだ」と明かす。
具体的なバックストーリーについては教えてくれなかったものの、ブライスは「作品全体が前作よりもシリアスになったから、コミカルな要素がとても重要だった。すべてのシーンで2人の関係性が生みだすユーモアを大事にしたの」と補足。
さらにクリスは「自分たちの演技に生まれる“真実味”が一番大事だったんだ。心のなかから自然と現れてくる演技だからこそ個性が反映されて、かつおもしろいやり取りになっているんだと思う」と、2人の関係性が本作の重要な役割を果たしていることをうかがわせた。
前作以上にダークな雰囲気が漂う本作は、昨今の風潮を反映させたかのように女性キャラクターの自律的な活躍や種の保存、自然環境の脅威など、様々なテーマを備えている。そのなかでもブライスが最大のテーマとして着目するのは、シリーズを通じて描かれてきた“テクノロジーへの警鐘”というテーマだ。
「(原作者の)マイケル・クライトンが描いた物語には当初から、革新や創造を続ける人類が、欲望によってトラブルに巻き込まれていくという、警鐘を鳴らす部分があったの。シリーズが生まれて25年が経つけれど、いまほどこのテーマが我々の世界に大きな意味を与えることはなかったと思う。その点で、今回の作品は意義深く、多くの人の心に伝わってくれるはず」。
するとクリスは深く頷きながら「ブライスの言う通りだよ!」と便乗。「付け加えると、前作よりも掘り下げて描かれる“動物の保護”、そして“生きる権利”も忘れないでほしいな。恐竜や人間だけじゃなく、生きとし生けるすべてのものに同等の権利があるんだ」と熱弁をふるった。
アドベンチャー要素やサスペンスといったエンタテインメントの王道を貫く側面と、現代社会が抱えるテーマを鋭く突いた側面。その2つを持ち合わせた本作が、前作以上の社会現象を巻き起こしてくれることに期待したい。
取材・文/久保田 和馬