『未来のミライ』公開前夜!細田守監督が自らフィルモグラフィーを振り返る
『時をかける少女』(06)や『おおかみこどもの雨と雪』(09)などで国内外から高い評価を集める細田守監督の最新作『未来のミライ』がいよいよ7月20日(金)から公開されることを記念して19日、角川シネマ新宿にて「『未来のミライ』見る前にあの名作を観よう!スペシャル上映会」が開催。上映後のトークショーに細田監督が、ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記と共に登壇した。
この日上映されたのは東映アニメーション時代の代表作である『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』(00)と、興行収入16.5億円の大ヒットを記録し、世間にその名を知らしめた『サマーウォーズ』(09)の2本。登壇するやいなや細田監督は、最新の技術でリマスタリングされたDCP素材で上映され、最高の画質で観てもらえたことに喜びの表情を浮かべる。
そして『劇場版デジモンアドベンチャー』(99)から始まるフィルモグラフィーをひとつひとつなぞるように振り返っていく細田監督。「すべての作品でモチーフが違っていても、連続性を持っていることの一つは“子ども”という題材。子どもが見ている世界というのは、大人が見ている世界と違ってどうすごいのか、それを可視化したいという想いをずっと持ってきました。そして“きょうだい”と“楽しい世界”。これが『未来のミライ』にも繋がっています」。
最新作『未来のミライ』は4歳の男の子“くんちゃん”が、不思議な少女“ミライちゃん”に導かれ、過去から未来へとつながる「家族の愛」の形を知っていく大冒険を描き出す。細田監督は「制作する上で最も議論になったのは、主人公が4歳だということでした」と、大きなチャレンジだったことを明かし「『デジモン』での経験があるので、小さい子どもを入り口にして映画を作ることは充分に可能だったし、何よりいいものができると確証があった」と自信をうかがわせた。
さらに自身の子ども時代について「わりと覚えている」と明かす細田監督は「『ぼくらのウォーゲーム!』の時も子どものころの妄想を加えながら作りました。『未来のミライ』では自分の子どもを観察しながら、でも自分の昔を思いだすことも多かった」と、制作のプロセスを振り返ると「もう一度子ども時代を生き直している感じがしました。改めて子ども時代を再定義することは、すごく大きなことだと思う」と力強く語った。
この日イベントが行われた角川シネマ新宿では7月28日(土)から8月24日(金)にかけて「細田守フィルムフェスティバル」が開催される。上映されるのは『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』と『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』(15)の5作品。詳しい上映スケジュール等は近日中に劇場ホームページに掲載されるとのことで、8月4日(土)の『時をかける少女』の上映の際には、主題歌「ガーネット」を歌った奥華子が登壇することも決定している。
さらに会期中には同じく角川シネマ新宿の5F(旧シネマ2)に新たにオープンした作品ギャラリーにて「細田守監督作品フィルムワークスギャラリー」も同時開催。ついに公開される『未来のミライ』にあわせ、日本を代表するアニメーション作家・細田守の世界にどっぷりと浸ってみてはいかがだろうか。
取材・文/久保田 和馬