『未来のミライ』がついに公開!上白石萌歌、初の声優挑戦に「運命を感じました」
今年5月に行われた第71回カンヌ国際映画祭「監督週間」でプレミア上映され、6月にはアヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門にも選出されるなど、世界中から大きな注目を集める細田守監督の最新作『未来のミライ』がいよいよ本日から公開。
その公開前夜にあたる19日、TOHOシネマズ新宿では20日0時から行われる最速上映を前に、細田監督と主人公・くんちゃんの声を担当した上白石萌歌が登壇。平日深夜の上映でありながら、会場となったシアター内は公開を心待ちにしていた大勢のファンで埋め尽くされており、ステージ上から会場を見渡した細田監督は「3年間かけて作ってきましてやっと公開。いち早く観ていただけることになって光栄です」と万感の思いを述べた。
「いままでもずっと家族をモチーフにして、身近なものの影響を受けて作品を作ってまいりました」と語る細田監督は、現在5歳と2歳になる自身の子どもたちから作品の着想を得たことを明かし「人生の中で、赤ちゃんが初めて家に来るのは大きなイベント。そういうところから始まる、ささやかで重要な意味を持つ物語にしたいと思いました」と、本作の大きなテーマを語る。
一方で、かねてから細田作品の大ファンだったという上白石は、初めての声優挑戦で4歳の男の子を演じている。「高校3年生の冬に、ミライちゃん役のオーディションを受けたのですが、そこでくんちゃん役の台詞原稿を渡されました」と、本作との予想外の出会いを振り返る。元々リアリティを追求するために子どもを配役するか、もしくは演技力のあるベテランの声優をと考えていたという細田監督は「萌歌ちゃんがやってきたときにピンときた」と明かす。
そして「この映画で描こうとしていることを、高校3年生の萌歌ちゃんが演じられると発見した時は本当にビックリしました。自分で選んでおいて言うのもあれですけど、こんなにすごい表現力を持つ人がいるのだと、いままでの固定概念をすべて打ち砕かれました」と、上白石のポテンシャルの高さに脱帽する細田監督。
そんなべた褒めにはにかんだ表情を見せる上白石は、実際に演じてみて「くんちゃんとは通じる部分があった。私の歳でもくんちゃんと同じ心の揺れ方をするから共感もして、運命を感じました」と述懐。それに対し細田監督も「葛藤や、これから世界に出て行くときの不安げなところがくんちゃんと重なっていた」と同意し「役柄は人間性が大事だなと改めて思いました」としみじみと語った。
取材・文/久保田 和馬