『インクレディブル』も『M:I』も!アニメ&実写で頂点を極めた才人監督に迫る

コラム

『インクレディブル』も『M:I』も!アニメ&実写で頂点を極めた才人監督に迫る

『Mr.インクレディブル』(04)の続編『インクレディブル・ファミリー』(8月1日公開)は、ご存じピクサー・アニメーション・スタジオによる長編第20作。全米では既にアニメ映画史上最高のオープニング興収を記録する偉業を達成しているが、同シリーズを手掛けたブラッド・バード監督の経歴をひも解いてみると、そのずば抜けた才人ぶりに驚かされる。

ディズニーに見出され、育てられた少年期

【写真を見る】3歳で才能を発揮!?アニメも実写も極めた“天才監督”とは?
【写真を見る】3歳で才能を発揮!?アニメも実写も極めた“天才監督”とは? [c]2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

3歳のころから絵を描き始め、絵と絵をコンテのようにつないでいたというバード監督。早くから映像作家向きな素質を発揮していた同氏は、11歳~13歳でなんと初のショート・アニメを制作し、ウォルト・ディズニー・スタジオから注目される。

14歳の時に同スタジオでアニメ制作の指導を受け、伝説のアニメーター、ミルト・カールに師事。その後はディズニーからの奨学金で芸術大学へ進学、そしてディズニー社に就職するという超エリートコースを歩んでいる。

凡庸ならざる才能で、アニメ界の頂点に!

前作『Mr.インクレディブル』に引き続き、ブラッド・バード監督がメガホンを取った『インクレディブル・ファミリー』
前作『Mr.インクレディブル』に引き続き、ブラッド・バード監督がメガホンを取った『インクレディブル・ファミリー』 [c]2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

ところが、バード監督は満を持して就職したディズニーを短期間で辞め、その後は仕事を転々とする。突出した才能ゆえに思うところ、または苦悩があったのだろうか?『インクレディブル』シリーズで、スーパーヒーロー家族が社会から拒絶され、凡庸に生きることを強いられる姿には、心なしか監督の経験や思いが込められている気も。だが、そんな描写を、誰もが楽しめるエンタテインメントに上手く溶け込ませ、作品に“深み”をもたらしている点が素晴らしい。

バード監督が手掛けたアニメーションはいずれも評論家からの評価が高く、初監督作『アイアン・ジャイアント』(99)では、“アニメのアカデミー賞”と称されるアニー賞9部門を受賞。『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』(07)ではさらにアカデミー賞も受賞、その才人ぶりでアニメ界の頂点を極めた。

エリートゆえに周囲から理解されない、監督自身の天才性が反映されている?
エリートゆえに周囲から理解されない、監督自身の天才性が反映されている?[c]2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

実写を監督してもシリーズ最高興収を達成!

そんな“アニメの才人”バード監督は、実写でも手腕を発揮している。『ミッション:インポッシブル』シリーズの第4作『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11)を監督し、トム・クルーズが世界一高い超高層ビル“ブルジュ・ハリファ"をよじ登るシーンなどド派手なアクションを随所に盛り込み、興収6億9千万ドル超の大ヒット作に仕上げている。初めて挑んだ実写作品にも関わらず、シリーズ歴代記録を打ち立て、こちらでも頂点を極めてしまったのだ。

アニメと実写両方で輝かしい実績を刻む才人。日本で例えるなら『エヴァンゲリオン』シリーズを手掛け、さらに『シン・ゴジラ』で総監督を務めた庵野秀明氏のような活躍ぶりと言えなくもない。見応えある傑作を生みだし、世界を魅了してきたマルチなセンスを持つバード監督から、今後も目が離せない!

文/トライワークス

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