『未来のミライ』が観客賞をねらう!スペイン最大の映画祭に日本映画が続々選出
平成最後の夏休みを彩る1本として7月20日に公開され、すでに観客動員180万人を突破した細田守監督の最新作『未来のミライ』(公開中)が、現地時間9月21日(金)から26日(水)まで開催されるスペイン最大の映画祭、第66回サン・セバスティアン国際映画祭でパールズ部門に選出されたことが明らかになった。
今年5月に行われた第71回カンヌ国際映画祭の期間中に開催される「監督週間」で正式上映され、世界最大のアニメ映画祭として知られるアヌシー国際アニメーション映画祭2018長編部門コンペティションにも選出された本作。全米では近年のアカデミー賞長編アニメーション部門で大きな存在感を示しているGKids配給で今秋公開されるほか、96の国と地域での公開が決定している。
このたび選出されたサン・セバスティアン国際映画祭のパールズ部門は、過去1年以内に他の国際映画祭で上映され、なんらかの賞や高い評価を得た作品が対象となる。今年は第71回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したスパイク・リー監督の『ブラッククランスマン(原題)』に、審査員賞を受賞した『カペナウム(英題)』や脚本賞を受賞した『スリー・フェイシズ(英題)』、現地時間8月29日(水)から開催される第75回ヴェネチア国際映画祭で上映されるデイミアン・チャゼル監督の『ファースト・マン』(19年2月公開)やアルフォンソ・キュアロン監督の『ローマ(原題)』など例年以上に豪華な顔ぶれが集結。
また同部門は観客賞の対象になっており、昨年はマーティン・マクドナー監督の『スリー・ビルボード』(17)が、一昨年は日本でも高い評価を得たケン・ローチ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』(16)が受賞。過去には日本から選出された是枝裕和監督の『そして父になる』(13)と『海街diary』(15)が同賞を受賞している。
過去に『バケモノの子』(15)で、アニメーション映画として初めてコンペティション部門に選出されて以来のサン・セバスティアン国際映画祭参加となる細田監督は「伝統あるサン・セバスティアン国際映画祭パールズ部門に、敬愛するアルフォンソ・キュアロン監督やジャ・ジャンクー監督らとともに、この『未来のミライ』を選んでいただいたことを、とても光栄に思います」とコメント。
さらに今年の同映画祭では『万引き家族』(公開中)の是枝裕和監督が生涯功労賞にあたるドノスティア賞を受賞するほか、濱口竜介監督の『寝ても覚めても』(9月1日公開)もパールズ部門に選出。そしてコンペティション部門には河瀬直美監督の『Vision』(18)が、ニュー・ディレクターズ・コンペティション部門には注目の新鋭・奥山大史監督の『僕はイエス様が嫌い』が出品される。日本映画が伝統ある映画祭で快進撃を見せてくれることに期待したい!
文/久保田 和馬