松岡茉優「樹木さんのようになりたい」と決意表明。阪本順治監督は稲垣吾郎キャスティング秘話明かす
第31回東京国際映画祭のラインナップ発表記者会見が9月25日に虎ノ門ヒルズフォーラムで行われ、今年のアンバサダーを務める松岡茉優が登壇。『万引き家族』(18)で共演し、15日に亡くなった樹木希林への想いを語った。
昨年行われた同映画祭のコンペティション部門作品『勝手にふるえてろ』(17)に主演し、“宝石の原石のような輝きを放つ若手俳優”を顕彰する東京ジェムストーン賞を受賞した松岡。今年はアンバサダーという大役に抜てきとなり「私でいいんですかね」と謙遜しつつも、「昨年、東京ジェムストーン賞をいただき、その賞がもっと輝いたものになるために邁進してきました。1年後にアンバサダーというのは、なかなかいいルートに進めたんじゃないかなと自信になりました」とニッコリ。「映画祭に華を添えられるよう、若手の力を示せるように頑張りたい」と意気込みを語っていた。
「私は東京出身。『地元の大好きな映画祭です』と言えることもアンバサダーを務めるうえで、うれしいこと」と映画祭の開幕を楽しみにしている松岡だが、日本映画の“いま”を世界に紹介する「Japan Now」部門では、樹木と共演した『万引き家族』も上映される。「樹木さんとの思い出は宝物」と口火を切った松岡は「樹木さんと同じ時代に生まれて、樹木さんの作品をたくさん観られる時代に生まれた。同じ時代に生まれたことに誇りを持って、さらに勉強して、樹木さんのようになりたい。樹木さんを生で見た人間として、次の世代に渡せるような存在になりたいと強く決意しています」とまっすぐな瞳で語っていた。
またこの日は、コンペティション部門に選出された『半世界』の阪本順治監督、『愛がなんだ』の今泉力哉監督と岸井ゆきの、『アニメーション監督 湯浅政明の世界』として特集される湯浅政明監督も出席した。
阪本監督は主人公の炭焼き職人を演じる稲垣吾郎について「稲垣くんに土の匂いがする役をやらせたらおもしろいとんじゃないかと思った」そうで、「普段の彼には素朴さを感じた。淡々と炭を焼いている、土着の人間が似合うという予感はあった」と告白。「稲垣くんはきれいな回転をしながら、ミットに収まる速球みたいな感じ。長谷川(博己)くんは、サッカーで言う無回転シュート。渋川(清彦)くんは、一生懸命投げているんだけどワンバウンドみたいな(笑)。池脇(千鶴)さんはピンを弾き飛ばすボーリングのボールのような破壊力がある」と魅力的なキャスティングが叶ったことに胸を張っていた。
第31回東京国際映画祭は、10月25日(木)から11月3日(土・祝)まで開催。従来の六本木ヒルズに加え、東京ミッドタウン日比谷の日比谷ステップ広場、東京国際フォーラムでも開催される。
取材・文/成田 おり枝