“全編PCやスマホの画面”の型破りな映画『search/サーチ』はどうやって成立した?監督を直撃
最初から最後まで、コンピュータや携帯、タブレットの画面で展開。だが、まるで退屈にならないばかりか、その事実を忘れるほど没頭させてしまうのが、『search/サーチ』(10月26日公開)だ。
そんな画期的な映画を生みだしたのは、20代後半のインド系アメリカ人のアニーシュ・チャガンティと、アルメニア系アメリカ人のセヴ・オハニアン。大学時代の友人である2人は、今作を共同執筆、チャガンティが監督、オハニアンがプロデュースした。オハニアンは過去に『フルートベール駅で』(13)などを製作しているが、チャガンティはこれで劇場用長編デビューを飾る。今作ももともとは短編のつもりで、出資者が「長編にしよう」と言った時、おもしろいことに、チャガンティは、断ろうとしたと告白する。
「『アンフレンデッド』を作った会社で、あの映画みたいなものをまたやりたいが、今度はオムニバスにしたいとのことだったんだよね。それでセヴと僕は、8分の短編のアイデアを思いついて、提案したのさ。すると、そのミーティングで、彼らは『これはぜひ長編にしたい。セヴ、君がプロデュースし、アニーシュ、君が監督してくれ』と言ったんだ。長編だとギミックになってしまうと思っていたので、僕が断ろうとすると、テーブルの下でセヴが僕の足を蹴ってきて、受けることになった(笑)」。
その短編は、誰かが女の子のコンピュータのパスワードを見つけ出し、中を覗くというところから始まり、やがて、それをやったのは父親で、なぜならその女の子が行方不明になったからだと、結末でわかるというものだったらしい。『search/サーチ』も行方不明の娘を捜すものだが、出だしは、父デビッド(ジョン・チョー)と娘のマーゴット(ミシェル・ラー)の過去を、Facebookを通じて見せるところから始まる。幸せな家族のアルバムは、デビッドの妻(マーゴットの母)が病気になったところから一転。やがて、彼女は亡くなってしまい、物語の舞台は、父ひとり娘ひとりとして生活する現在に移るのだ。チャガンティにとっては、この感情的なオープニングを思いついたことが、ギミックになることなく長編を作るための、大きなとっかかりとなった。
「僕らの最大の目標は、観客に、それがコンピュータ画面であることを忘れてもらうことだった。そのためにはストーリーが重要。あのオープニングを思いついた時、僕らには、じゃあ次の展開はこうで、その後はこうだと、アイデアが次々に浮かんできたのさ」