志尊淳がストイックな役への向き合い方を語る「悩んでいる暇なんてない」
役に対してとことんストイックに向き合う理由とは?
甘いマスクで柔和な雰囲気を醸す志尊だが、スポーツ万能の体育会系で、運動能力のポテンシャルが高く、今回もバスケットボールの名プレイヤー役を見事に演じ切った。彼の信条は「なにごとも中途半端で終わりたくない」だそう。「なんでも『もうこれ以上できない。やり尽くした』というところまでやらないと、気が済まないんです。『とことんやってみてダメだった』ならわかるけど、やってもいないのに『もう無理』と言うのは“逃げ”だと思います」。
壁にぶつかった時の対処法も志尊らしい。「どうしよう、こんなのでいいのかな?と、悩む時もありますが、僕の場合は『悩んでいる暇なんてない』となります。自分じゃどうしようもできないことなら、人に相談するかもしれないけど、自分でどうにかできる範囲のことなら、悩む前に『お前はとことんやったのか?』と問いかける。そうすると『やるしかない』となります」。
「ミュージカル・テニスの王子様」2ndシーズンや「烈車戦隊トッキュウジャー」シリーズで頭角を現した志尊は、その後、数々のドラマに出演。18年は、「半分、青い。」のボクテ役や、連ドラ「女子的生活」のトランスジェンダーのみき役など、難役にもトライしてきた。「性的マイノリティを演じることに対しての責任の大きさを強く感じました。というか、そういう背景を知っていないと役を演じられないとも思いましたし。ただ、実際に演じる時はほかの役と同じように、個人としてそれぞれの役に寄り添って演じようとしてきただけです」。
俳優業は、勝ち負けのあるスポーツとは違い、わかりやすいゴールがないように思える。志尊は俳優業について、なにをモチベーションにして日々精進しているのだろうか?
「俳優って多少のエゴイズムも必要だけど、その前に誰かが『この人にこういう役をやらせたい』と思ってくれるからこそやらせてもらえる職業であり、そのイメージをつけてくださるのは、皆さんです。そういう意味では、僕自身が『こういう人になりたい』という俳優像はまったくないし、人の真似をしてなれるものでもないと思っています。自分が無理や背伸びをせず、自然体で評価していただくのが一番いいとは思っていますが、いまはまだキャリアが浅いので、目の前にあるものに対して真摯に向き合っていくだけです」。
仕事に対して一切妥協なしで、どこまでも謙虚で努力家。麗しい風貌とのギャップもたまらない志尊淳は、今後の伸びしろも未知数でなんとも頼もしい。
取材・文/山崎 伸子