小池栄子、山田孝之を「天才」とベタぼめ!『乱暴と待機』インタビューPART2
(小池栄子、山田孝之を「天才」とベタぼめ!『乱暴と待機』インタビューPART1から続く)
――(番上が奈々瀬を)誘惑するシーンは、演技を受けていていかがでしたか?
美波「私は奈々瀬として必死だったので、いろんな意味でドキドキしました。でも、演じてて、奈々瀬もそういう状況は嫌いじゃないんだろうなと思ったんです。だからはまってしまっている。まあ、“覗かせる”っていう行為自体が(苦笑)」
山田「ドSだよね」
小池「自意識が強いのかな」
――では、演じられた奈々瀬ちゃんみたいな女の子ってどう思いますか?
美波「客観的に見てですか? まあ、関わりたくないです(笑)」
小池「男が絡んでこなかったら良いけど。本谷さんが『奈々瀬は私です』って言ってて、私も本谷さんとお仕事をしたから、『あ、奈々瀬はあなただよね』っていうのがわかるんです。ふたりの間に男性が絡んできてないから、すごく好きだし、悪気がなくズケズケ言っちゃうとこも魅力なんですよ」
山田「うんうん」
小池「でも、ここに恋愛が絡むと、多分一緒にいられない。嫌いってなっちゃうかもしれないですね」
美波「でも奈々瀬はズケズケ言ってないんじゃないですか?」
小池「悪気はないんだけど、自意識過剰すぎて『いや、そんな、私なんて』って言ってるでしょ。そんな言葉が『実はあなた、それが一番キツイこと言ってるんだよ』っていうのを、悪気があって意地悪したくて言ってるわけじゃなくて、彼女は一生懸命に言ってるところが本谷さんと近いなと思ったの」
山田「舞台本番が始まる前に本谷さんが場内アナウンスするんですよ。俺、それを聞いたときに『うわっ、こいつ』って思った(笑)。あの猫なで声というか」
小池「そう。『私、自意識強い女なんで』って、開き直るからね、本谷有希子っていう女性は(笑)。おもしろいよ」
――山田さんは奈々瀬ちゃんとあずさちゃんだったら、どっちが?
山田「どっちか? どっちか選ぶんですか?」
――じゃあ、奈々瀬ちゃんみたいな人はどうですか?
山田「いやですよ。うざったいし」
一同「(笑)」
山田「もっと、ちゃんと気持ちでぶつかって、お互いが思ってることを言い合ってやっていきたいですから。奈々瀬だと、こっちから玉投げても全部スカーンって、返ってこない」
美波「投げ損ですよね」
――では、あずさちゃんは?
山田「あずさの方がまともにキャッチボールできるから良いですよね。でも、どんな女性を見ても、あずさも奈々瀬も感じます。女性の誰にでもある一部分を、グーッと引き伸ばしてるから、『うわっ』と思うけど。結局人間のやってることで、出てくる人たちみんな嫌いじゃないですよ」
――あずさの持っているような嫉妬心は、実際みなさんも持っていますか?
小池「嫉妬はするけど、あんなね(笑)。あと、私はあんまり相手に過剰に期待しないようにしているんです。自分にも欠点があるように、相手にも欠点がある。こっちが期待したり、自分の考えが正しいと思って行動するから、人とぶつかったり、理解できないってなるだけで、『あ、そういう意見もあるんだ。そういう生き方もあるんだ』と思って接したら、あそこまでひどく感情的になることはないなあ」
美波「私は嫉妬しちゃうな。構ってほしい。構ってもらえなかったりすると嫉妬しちゃいますね」
――女性は、そういう気持ちを持ってたりしますよね。
小池「私だって、構ってほしいと思ったりするよ!(笑) 『全然ほっといても大丈夫』とか思われたくないけど。恥ずかしくて、うまく出せないだけですよ」
――あずさちゃんはすごい素直ですよね。
小池「そうですね。あんな風にできたらいいなと」
山田「いやー、あそこまで激しくは…」
小池「サクサク刺すもんね。あれ、痛いねー!」
山田「最初は1回だったでしょ? でも監督が現場でフッと思いついて、『1回刺すけど、その後もサクサクサクサクサクサクって、やってください』って」
美波「あれは、超グチョグチョってことでしょ?」
山田「いや、でも最初はズバッと入ってるけど、そのあとはジョキジョキジョキって。1、2cm刺してるぐらいだと思う。痛たたたたたた!って(笑)」
――あずさの感情的なシーンはすかっとしましたか?
小池「(相手が)言っても言葉なんか通じない人たちだから、言葉であーだこーだ言っても全然ダメで、物にいくわけなんですけど。サンダルとかポーンって投げたりして…でも、やっぱり苦しいですよね。あずさはすごく考えるタイプで周りが見えてる子だし、やったは良いものの、どうしよう・・・と思ってると思うんです。考えすぎたり、周りのことを見すぎて、やってしまった後に苦しんでるんだろうなあ」
――原作は人気のある作品で、原作のファンの方もこの映画をご覧になると思うのですが、公開を楽しみにしているファンの方へ見どころや、どういうところに着目すると面白いかなど、お話しできる範囲で聞かせください。
小池「私はもう全く別ものだと思ってます」
美波「同じ登場人物でも、違うお話を見ている感覚で、世界観が全く違うので想像つかなかったことが映画では観られますよ」
山田「原作とここが違うって、みんな、批判的になりすぎですね。違うものを作ることに意味がある。全く同じものを作るんだったら、アニメーションでやれば良いことだから。もちろん違っていて良いと思うんです。なにより、映画としてスゲー面白いから、そんな間違い探しをするよりも、単純に映画として楽しんでもらえたらいいなと思います」
浅野忠信、美波、小池栄子、山田孝之が淫靡で滑稽な物語を描き出す本作。互いに好意を持ちながらも、天井裏からのぞく、のぞかれるという関係しか築くことができない複雑な男女と、そこに巻き込まれた男女、4人が織りなす人間劇に是非注目してもらいたい。【MovieWalker】