門脇麦と吉田志織、体当たりで挑んだ『チワワちゃん』の撮影秘話
「自由にやってください」という演出について
現場でチワワになりきっていた吉田は「監督が『自由にやってください』と言ってくださったのが良かったです。みなさんがそれぞれ支えてくれました」と感謝する。
門脇は「私は逆に『自由にやって』と言われるのがいちばん苦手です」と告白。「私はある程度の範囲を指定してくださった方が有難くて。そういう意味で、志織ちゃんは、チワワ役にぴったりだったのかなと。最初は大人しい印象でしたが、現場に入った日からマックスのテンションでした。あのボルテージの上がり方には、みんなが驚いたと思います」。
門脇も今回、成田凌とのかなり過激なシーンがあるが、実は何度もリハーサルをしてから臨んだそうだ。「全部段取りなどきちんと決めてやっています。映せない部分もあるので、カット割りからなにから、全部決めてやりました」。実際、同シーンは、息を呑むような仕上がりになっている。
ほろ苦い青春群像劇となった本作。門脇は、人がなぜ、青春時代に思いを馳せるのかと考えてみたそうだ。「それはやがて消えていくとわかっているからなのかなと。チワワの台詞にもありましたが『ハッピーだけど、いつかその時間がなくなる』と。だから悲しいんだろうなと」。
門脇は、ミキのような青春時代は送ってこなかったそう。「私は子どものころからバレリーナになることを夢見ていて、その夢にまっしぐらでした。でも、やがて己の実力や世界のレベルの高さを知り『ああ、もうやっていけない』と思いました。それが、私のなかでは青春とのお別れのようなもので。次になにをしようかと3年間くらい模索していて、映画がおもしろそうだと思い、この仕事を始めました。また、自分の才能のなさに打ちひしがれた時代もあったけど、今どうしようもできないことに悩むより目の前の仕事を一生懸命頑張ろうと思っています」。
吉田は、初めての大役にトライし、手応えを得たようだ。「苦しむこともすごく大事だなということを再確認しました。大変な撮影でも、チワワでいる時は全然傷ついたりはしていなかったけど、終わって吉田志織に戻ったとき、どこか傷ついている部分があったかなと思います。でも、そこは後悔してないし、私にもできたんだと自信をもつことができました。いまは、もう怖いものがないはずだと。メンタル面をかなり鍛えられたので、また、次につながるといいなと思っています」。
取材・文/山崎 伸子
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