“破壊王”マイケル・ベイの心を撃ち抜いた?『バンブルビー』はストーリーに注目!
『アルマゲドン』(98)や「バッド・ボーイズ」シリーズなどで知られるマイケル・ベイ監督の新たな代表作として、新作が発表されるたびに世界中で記録的なヒットを飛ばしつづける「トランスフォーマー」シリーズ。その最新作にして、すべての始まりの物語が描き出される『バンブルビー』が3月22日(金)から日本公開される。
ド派手なアクションや容赦なき大爆破シーンを何よりも得意とする“破壊王”ベイ監督からメガホンを引き継ぎ、『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(16)で次代のアニメ界を担う新たな才能と注目されたトラヴィス・ナイト監督が実写映画監督デビューを飾った本作。さらに『トゥルー・グリット』(10)で14歳にしてアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたヘイリー・スタインフェルドが主演を務めるなど、シリーズ初参戦となる顔ぶれが集結している。
中でも注目すべきは、本作の原案と脚本を担当したクリスティーナ・ホドソンだ。初めて手がけた脚本が、のちにアカデミー賞候補作となる『セッション』(14)や『メッセージ』(16)、『最後の追跡』(16)と並び、ハリウッドの優秀な未映画化脚本を評価する「ブラックリスト」にランクイン。その後も3年連続でランクインを果たした彼女は、たちまち期待の女性脚本家として脚光を浴び、先日DCコミックスの新ヒロイン映画『BATGIRL(原題)』の脚本家に就任したことが発表された。
「典型的な枠にはまらない女の子を描きたかった。これまでの『トランスフォーマー』らしいスリルや興奮、冒険と楽しさが満載な一方で、愛情の要素もたくさん含まれた作品」とホドソン自身が語るように、機械であるトランスフォーマーたちに感情や人間味を組み込み、優しく穏やかなストーリーにするというコンセプトのもと書かれた本作の原案。それを読んだベイは、大興奮で即ゴーサインを出したという。
「すぐにクリスティーナの案に応じたよ。1作目の良さを引き継ぎながら、勇敢で強い女性の視点から作られたストーリーは、僕らでは生み出すことのできなかった新しい要素がたくさん含まれていたんだ」と、その魅力を熱弁するベイ。また、ベイと共にプロデューサーをつとめるロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラも「彼女の脚本は過去の作品とは異なるタイプの作品でいこうと確信させてくれた。観客にはこれまでにない形でトランスフォーマーについて知ってもらうことができるだろう」と太鼓判を押した。
さらに、本作で主人公チャーリーを演じるヘイリーが主演を務めた『スウィート17モンスター』(16)を手がけた女性監督ケリー・フレモン・クレイグが、ホドソンとともに脚本を担当。同作で余すところなくヘイリーの魅力を引き出したクレイグが参加することで、トランスフォーマーだけでなく主人公の内面にもより深く入っていく物語が展開することは間違いないだろう。
すでに公開されている全米では興行収入1億ドルの大台を突破し、全世界興行収入も4億5800万ドルを突破する大ヒットを記録中の本作。しかも、興行収入とは裏腹に批評家からは厳しい声が相次いだ過去のシリーズ作から打って変わって、世界中の批評家たちも手放しで大絶賛。アメリカの大手批評サイト「Rotten Tomatoes」では93%の批評家が本作に賛辞を贈り、“シリーズ最高傑作”との呼び声も。
これまでのシリーズ作の持ち味である大迫力な映像に心揺さぶるドラマ性をプラスし、まったく新たな形へとトランスフォームさせた本作。シリーズファンにとってはもちろんのこと、「トランスフォーマー」をよく知らないという人でも楽しめる、見応えたっぷりの超大作を、是非とも劇場の大スクリーンで体感してほしい。
文/久保田 和馬