【今週の☆☆☆】賞レースでも話題の『スパイダーマン:スパイダーバース』、C・イーストウッド監督&主演『運び屋』など週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。3月8日(金)から今週末へかけてチェックしておきたい、オスカー受賞の画期的なアニメーションに、映画界のレジェンドが10年ぶりに放つ監督&主演作、美女2人の演技が秀逸なミステリーなど、バラエティ豊かな作品をピックアップ!
アニメーションの新たな可能性を感じさせる『スパイダーマン:スパイダーバース』(3月8日公開)
本年度のアカデミー賞長編アニメーション部門を受賞した話題作がついに公開!偶然スパイダーマンの能力を得た黒人少年マイルスが、時空の歪みによって別次元から呼び寄せられたスパイダーマンたちと協力し、巨大な悪に立ち向かう姿を描く本作は、アメリカン・コミックスのダイナミックさや躍動感、そしてコマ割りを使うからこその演出などをそのままアニメーションとして動かそうとする新たな映像表現にトライ。その結果、今までに観てきたどのアニメーションとも違った映像的興奮をもたらしてくれる。人種や年齢、世代を超えた異なる次元のスパイダーマンたちが協力するというメッセージ性が、その挑戦的な映像演出と相まって、アニメーション映画の新たな可能性を感じさせてくれる1作として完成。劇場のスクリーンでその精緻な映像を隅々まで味わってほしい。(映画ライター・石井誠)
こんなイーストウッド映画が観たかった!『運び屋』(3月8日公開)
こんなイーストウッド映画が観たかった!6年ぶりの主演作を、自ら監督して放ったクライム・ストーリー。90歳にしてドラッグの運び屋となった男の実話をもとに、気ままな安全運転で麻薬を運ぶ主人公と、麻薬捜査局の攻防を描く。それは時にスリリングで、時にユーモラス。主人公が保安官に尋問されたり、コワモテのギャングに絡まれたりなどの描写にハラハラさせられるし、一方で犯罪に手を染めながらも、知ったこっちゃないとばかりにノンビリと仕事をする主人公のマイペースぶりがおかしい。『グラン・トリノ』(08)のリアルな老境感覚や、『許されざる者』(92)にも通じるダメ男の贖罪というテーマも完備。グっとくるラストまで目が離せない!(映画ライター・有馬楽)
一見バカっぽいのに、鋭いところを突いてくる『シンプル・フェイバー』(3月8日公開)
『ピッチ・パーフェクト』(12)のアナ・ケンドリックと『ロスト・バケーション』(16)のブレイク・ライブリーが最高だ!2人が扮するのは、空気が読めないユーチューバー主婦ステファニーと、謎めいたキャリア美女のエミリー。ふたりはママ友になるのだが、エミリーが子供を残して失踪、ステファニーが素人探偵として事件を解き明かそうとする。ステファニーもエミリーも“ベタ”なステレオタイプとして登場する。そしてアナもブレイクも、確信犯的に“ベタ”を突き抜けた過剰さで演じていて、その結果、作品が持つ皮肉なユーモアが浮かび上がるのだ。同性同士の嫉妬、羨望、嘲り、侮り……事件を動かすのは誰にも身近な感情ばかり。ステファニーにもエミリーにも呆れ返る要素がわんさかあるのだが、それも実は、卑近な自分自身を笑っているのだと気づかされる。一見バカっぽいのに、鋭いところを突いてくるミステリーコメディだ。(映画ライター・村山章)
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週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス