【今週の☆☆☆】米副大統領の素顔を描く『バイス』、巨大スーパーの倉庫が舞台の『希望の灯り』など週末観るならこの3本！

Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。カメレオン俳優があの大物政治家になりきった衝撃作、ベルリンの壁崩壊後の旧東ドイツに生きる人々のドラマ、人気コミックが原作の青春ラブストーリーなど、4月5日(金)から今週末へかけてチェックしておきたいバラエティ豊かな作品をピックアップ！

週末に観てほしい映像作品3本を、MovieWalkerに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します

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大統領以上の権力を獲得してしまった男の記録『バイス』(4月5日公開)

約20キロの体重の増量と特殊メイクでディック・チェイニーになりきったクリスチャン・ベール(『バイス』)[c]2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All rights reserved.

アカデミー賞が本作を高く評価したのは、政治性や社会性がリアルに捉えられていたから…などと言うと小難しいと思われるかもだが、構える必要はない。それは同時に、権力をトコトン追い求めた“怪物”の物語でもある。主人公ディック・チェイニーは、ジョージ・W・ブッシュ政権下で米国副大統領を務めた人物。副大統領というと大統領よりも立場は下だが、それは表面的なこと。全米国民が嘆き悲しみ、ブッシュさえもうろたえた同時多発テロの際に“これはチャンス！”と考え、イラク戦争を率先して仕掛けた。本作を見れば、ブッシュが操り人形のように思えてくるだろう。大統領以上の権力を獲得してしまった男の記録。世にも恐ろしい“怪物”映画である。(映画ライター・有馬楽)

巨大スーパーで働く人々を描くユーモラスな“お仕事”映画『希望の灯り』(4月5日公開)

【写真を見る】『希望の灯り』など今週末から公開が始まるオススメ映画3本を紹介！[c]2018 Sommerhaus Filmproduktion GmbH

1990年にドイツが再統一される以前は、社会主義国家の東ドイツに属していたライプツィヒ。その近郊にたたずむ巨大なスーパーマーケットを舞台にした本作は、従業員たちの人間模様をつづるユーモラスな“お仕事”映画だ。普段、利用客の目につかない倉庫の様子や、そこでフォークリフトを操って在庫管理や運搬作業にいそしむ人々の姿を描出。その無機質な空間にはひんやりとしたムードが漂うが、新米の主人公クリスティアンを中心に、彼が想いを寄せるお菓子担当の女性、飲料担当の中年男らが織りなすドラマには、このうえなく人間臭い温もりが息づいている。それぞれ問題を抱えながらも、ささやかな幸せのありかを求める男女の人生を密やかに交錯させ、はかなくも愛おしい時間に浸らせてくれる珠玉の一作だ。(映画ライター・高橋諭治)

“少女コミックあるある”満載で大人が見てもキュンキュンする『4月の君、スピカ。』(4月5日公開)

人気少女漫画が原作の『4月の君、スピカ。』[c]2019 杉山美和子・小学館/「4月の君、スピカ。」製作委員会

人気少女コミックを清々しいほど王道に、胸キュンてんこ盛りで実写映画化した“三角関係”青春ラブストーリー。ヒロインは、進学校にうっかり入り、友達がうまく作れない早乙女星。ひょんなことから天文学部に入る展開、部員はモテ男子2人だけ――チャラいが学年トップの陽気な秀才・泰陽と、泰陽の幼なじみで物静かな美少年・深月というのも、“少女コミックあるある”で、幸せでお腹一杯！ティーンならハートど真ん中をズキュンだが、意外や大人が観ても(特に女性)、キュンキュンうっとり。星を演じる、可憐な容姿に絶妙な抜け感があり、ふわふわボイスの福原遥の好感度も高い。泰陽を太陽のような笑顔の佐藤大樹、深月を「3年A組－今から皆さんは、人質です－」でも存在感を放った鈴木仁が好演。『NANA』(05)の大谷健太郎監督が、初恋のトキメキを真空パック！(映画ライター・折田千鶴子)

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週末に映画を観たいけど、どの作品を選べばいいのかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて！

構成/トライワークス