【今週の☆☆☆】カリスマ判事に迫る『RBG 最強の85才』、天才ダンサーの半生を映画化した『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』など週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。5月10日(金)から今週末の公開作品をピックアップ。女性判事に迫るドキュメンタリーから、名俳優の監督作品、朝井リョウ原作青春ものなど、バラエティあふれる3本がそろった!
“性差別との闘い”の歴史と意義が見えてくる『RBG 最強の85才』(5月10日公開)
フェリシティ・ジョーンズ主演で伝記映画『ビリーブ 未来への大逆転』(18)も公開されたばかりのアメリカ最高裁判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグの伝記ドキュメンタリー。ギンズバーグはラッパーの「ノトーリアスB.I.G.」とかけた「ノトーリアスR.B.G.」という愛称でも親しまれている、現在86歳のカリスマおばあちゃんだ。ギンズバーグの功績といえば、弁護士だった1970年代に女性差別を撤廃するべく法律の世界で戦ったこと、良識派、人道派としてのぶっちゃけトークで社会に警鐘を鳴らし続けていることなどだが、マジメとお茶目を絶妙に両立させた人柄がとにかく魅力的。そして彼女の足跡を追うことで、いま誰もが向き合わざるを得ない“性差別との闘い”の歴史と意義が見えてくる。アカデミー賞にもノミネートされた、チャーミングでためになる一作。(映画ライター・村山章)
天才ダンサーの荒ぶる魂が鮮烈な『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』(5月10日公開)
20世紀のバレエ史に名を残す旧ソ連の天才ダンサー、ルドルフ・ヌレエフは、1961年に、公演先のパリで、故国を捨てて亡命を申し出た…。その背景に何があったのかを描きだした本作。社会主義体制の抑圧の下で、厳しいトレーニングを受けて才能を開花させたヌレエフの、さらなる自由の追求を浮き彫りにする。妥協を許さぬアーティストで同性愛者、そして時には激情的なエゴイストにもなる、そんな男の荒ぶる魂は鮮烈な印象を与えるに違いない。ウクライナ出身のダンサー、オレグ・イヴェンコを主演に迎えて再現した華麗なバレエ・シーンも見どころ。名優レイフ・ファインズは監督として辣腕を振るっているが、ヌレエフの師の役での妙演にも注目したい。(映画ライター・有馬楽)
横浜流星をはじめ若手俳優らが本気で鍛えた『チア男子!!』(5月10日公開)
人気作家・朝井リョウが早稲田大学在学中、実在の男子チアリーディングチーム部の活躍に触発され書き上げた、同名小説の映画化。道場の息子で柔道一筋だったハルが、大学入学と怪我を機に柔道をやめ、親友に誘われ男子チアリーディング部を結成する――。原作に忠実なメンバー7人のキャラも立ち、その掛け合いがユーモラスで魅せられる。皆それぞれ苦悩や葛藤を抱え、励まし合い乗り越えていく姿に落涙!ガチガチのスポ根ではない、彼らの柔らかさが、いかにも現代の若者風で好感を抱かせる。横浜流星をはじめ若手俳優らがガチで鍛え、互いを高め合っていく姿が物語と重なり、ラストチアの感動をより増幅させる。朝井ファンを公言、本作で長編監督デビューを飾った新鋭・風間太樹の感性も光る。(映画ライター・折田千鶴子)
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週末に映画観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス