【今週の☆☆☆】革命を起こした女性作家の伝記『コレット』や、大学生4人が犯罪に手を染める『アメリカン・アニマルズ』など週末観るならこの3本!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
【今週の☆☆☆】革命を起こした女性作家の伝記『コレット』や、大学生4人が犯罪に手を染める『アメリカン・アニマルズ』など週末観るならこの3本!

コラム

【今週の☆☆☆】革命を起こした女性作家の伝記『コレット』や、大学生4人が犯罪に手を染める『アメリカン・アニマルズ』など週末観るならこの3本!

Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、5月17日(金)から今週末にかけての公開作品から。キーラ・ナイトレイ主演の伝記映画に、冷戦時代の東ドイツの若者の闘いを描いたドラマ、米国の大学生が実際に起こした強盗事件の映画化作品など、実話がテーマの良作をピックアップ!

週末に観てほしい3本を、Movie Walkerに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します
週末に観てほしい3本を、Movie Walkerに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します

柔らかな感性やその内面に興味が尽きない『コレット』(5月17日公開)

キーラ・ナイトレイがフランス作家のシドニー=ガブリエル・コレットを演じる『コレット』
キーラ・ナイトレイがフランス作家のシドニー=ガブリエル・コレットを演じる『コレット』[c] 2017 Colette Film Holdings Ltd / The British Film Institute. All rights reserved.

キーラ・ナイトレイ主演の時代もの、女性作家が夫名義で出版せざるを得ない…等々、何かと既視感が伴うが、それだけに安定感があるとも、いま観るべきテーマの作品とも言える。物語は、主人公シドニー=ガブリエル・コレットと、当時カリスマ的な人気を誇った作家ウィリーとの恋と結婚、才能の発芽、ウィリーとの別れまでが中心に描かれる。彼女が執筆した「クロディーヌ」シリーズが、女性を中心にどれだけの社会現象を起こしたか、というくだりにも興奮!有名な多数の著書を残し、後にフランスで国葬されるほどのパワーウーマンとなり、“奔放”と表されたその後の活躍・活動を知るにつけ、柔らかな感性やその内面に、興味が尽きない魅力的な伝記映画だ。(映画ライター・折田千鶴子)

犯罪に手を染めた大学生4人の青春『アメリカン・アニマルズ』(5月17日公開)

バレバレな変装など、雑な計画で強盗に挑む大学生4人の実話『アメリカン・アニマルズ』
バレバレな変装など、雑な計画で強盗に挑む大学生4人の実話『アメリカン・アニマルズ』[c] AI Film LLC/Channel Four Television Corporation/American Animal Pictures Limited 2018

犯罪映画は数多くがあるが、本作ほど「犯人グループが頼りない!」と感じることも珍しい。時価1200万ドルという希少本を強奪しようとしたのは、ごく普通の大学生4人組。計画を練るために『オーシャンズ11』(01)のようなハリウッド映画で勉強したというから、その雑さがうかがい知れる。バカな若者たちのバカさを愛でるブラックコメディと言ってもいい。そんなバカげた実話を、なんと犯人グループ4人(と家族や事件の関係者)がカメラの前で回想し、それに合わせてドラマ部分を作りました!という本作。ところが時に4人の証言は食い違い、結局、真実が何なのかは誰にもわからない。伝わってくるのは、このバカげた事件を起こしてしまった若者たちが抱えていた、どん詰まりの倦怠感と焦燥感。つまり本作は、犯罪映画というよりもわれわれ凡人たちのための青春映画なのである。(映画ライター・村山章)

東ドイツに生きた若者の知られざる真実『僕たちは希望という名の列車に乗った』(5月17日公開)

冷戦時代の東ドイツを描いた歴史ドラマ『僕たちは希望という名の列車に乗った』
冷戦時代の東ドイツを描いた歴史ドラマ『僕たちは希望という名の列車に乗った』[c]Studiocanal GmbH Julia Terjung

2016年の『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』(16)で、ナチス逃亡犯アドルフ・アイヒマンの拘束に関わった実在の検事フリッツ・バウアーの苦闘を描いたラース・クラウメ監督。彼が新たに放つこのドイツ現代史映画は、1956年、東西冷戦下の社会主義国、東ドイツで起こった驚くべき実話の映画化だ。とある高校の教室で生徒たちが“2分間の黙祷”を行ったことが、国家への反逆行為と見なされ、当局が尋問に乗り出す事態へと発展。青春まっただ中の若者たちの友情や苦悩がみずみずしくも切実に描かれ、仲間への裏切り、密告を迫られる彼らの運命から目が離せない。また、題名に含まれる“列車”も重要なポイント。歴史上の知られざる真実を、現代の観客の胸にずしりと響かせる一作だ。(映画ライター・高橋諭治)



週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!

構成/トライワークス

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