ハリウッド版『君の名は。』のヒントが!?川村元気とマーク・ウェブの特別対談を試し読み!
『モテキ』(11)や『君の名は。』(16)など、数多くの大ヒット映画を企画・プロデュースしてきた日本を代表するフィルムメイカー、川村元気が「いきなりハリウッドに呼ばれて、巨匠たちと企画会議をすることになったら?」というテーマのもと、スティーヴン・スピルバーグやクエンティン・タランティーノら空想上のハリウッドの巨匠たちと繰り広げてきた“空想会議(ブレスト)”をまとめた書籍『超企画会議』が、『ブレスト』に改題され、文庫版として本日より発売された。
このたび本書の文庫版特典として収録される、マーク・ウェブ監督とのリアル対談の一部を、Movie Walkerで特別に公開。監督デビュー作『(500)日のサマー』(09)で映画ファンの心を掴み、その後「アメイジング・スパイダーマン」シリーズや『gifted/ギフテッド』(17)などを生みだしたウェブ監督は、ハリウッド随一のヒットメイカーとして知られるJ.J.エイブラムスがプロデュースを務めるハリウッド版『君の名は。』でメガホンをとることが決まっている。
オリジナル版に続いてハリウッド版『君の名は。』にもプロデューサーとして参加する川村。この対談を読めば、いまだその全貌が明らかになっていないハリウッド版がどのような作品になるか見えてくるかも…?全映画ファン必見の対談の一部をとくとご覧あれ。
『君の名は。』のどこが好きですか?
川村元気(以下、川村)「マーク監督と初めてお会いしたのは2018年10月だから、ちょうど半年前でしょうか。サンタモニカのレストランでしたね。どんな巨匠が来るのか、と身構えていたら、リュックサックを背負ってTシャツ姿で、たったひとりで来られて驚きました。最初から、すごく気さくに話ができて嬉しかったです。僕はマーク監督の『(500)日のサマー』が大好きだったので。プロデューサーのJ.J.エイブラムスと脚本家のエリック・ハイセラーとともに一年かけて作ってきたハリウッド実写版『君の名は。』の脚本を、JJがマーク監督に送ってくれて、マーク監督が気に入ってすぐに引き受けてくれました。そのとき原作となるアニメ『君の名は。』のどんなところが面白いと思われたのかについて、聞きましたよね」
マーク・ウェブ(以下、マーク)「作家E.M.フォースターの墓石に刻まれている言葉で、『Only Connect=つながりあるのみ』というものがあります。これほど響く言葉はないです。ですが、本作における『結び』というテーマは、より詩的でかつ特定された、あるつながりの具現です。結ばれたいという気持ちは世代も文化も性別をも超えます。真に普遍的なのです。『君の名は。』はこの想いを全く新たなエンタテインメントとしてはっきりと表現したのだと思います。世に残る物語は生きることを教えてくれます。本作はまさに人と人のつながりを描き、人を深く動かしたのだと思います」
川村「ちなみにオリジナルの『君の名は。』のなかでマークさんが好きなシーン、キャラクターってありますか?」
マーク「なにか一つ選ぶことは、それ以外がよくなかったと言っているようで気がひけるのですが。やはり冒頭のシーンが思い浮かびます。作品におけるフラッシュフォーワード、いわば全編の予告のような映像部分です。『ずっと何かを、誰かを探している』。このものうげな言葉の余韻がアップビートで高揚する音楽に昇華される。これにはぞくっときました。この熱望と喪失の対照、期待と不安の共存というものに惹かれます。キャラクターについては、ありきたりですがほんとうのことなので言いますが、瀧(たき)です。理由は明らかすぎてわざわざいう必要ないですよね(笑)」
「ブレスト」
もし、いきなりハリウッドに呼ばれて、巨匠たちと企画会議をすることになったらーー。スピルバーグにウディ・アレン、タランティーノらを相手に、日本を代表するフィルムメイカー・川村元気が空想会議(ブレスト)を繰り広げる。川村はいかに企画を作り、仲間を巻き込み、ものを作ってきたのか。自身の頭の使い方を大解剖した、知的格闘の軌跡。文庫版特典として、ハリウッド版『君の名は。』のマーク・ウェブ監督との対談を新録。
6月14日(金)発売
※電子書籍(フルカラーバージョン)同日配信
定価:720円+税
KADOKAWA刊
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