『Bond 25(仮)』の監督を辞退したダニー・ボイル、“フランチャイズ映画は性に合わない”?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『Bond 25(仮)』の監督を辞退したダニー・ボイル、“フランチャイズ映画は性に合わない”?

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『Bond 25(仮)』の監督を辞退したダニー・ボイル、“フランチャイズ映画は性に合わない”?

2018年の3月に「007」シリーズ最新作の『Bond 25(仮題)』の監督として決定したが、同年8月に製作側との「クリエイティブな意見の相違」を理由に辞退をしたダニー・ボイルが、英「METRO」とのインタビューで本作に携わった経験とフランチャイズ映画に対する自身の意見を語った。

ボイル監督は同インタビューで「あの経験は、僕はフランチャイズ映画には不向きなのだと理解する良い教訓になったよ。そうでないと、また同じ過ちを繰り返してしまうからね」とコメント。

トレインスポッティング』(96)や『スラムドッグ$ミリオネア』(08)といった名作を生みだしたボイル監督にとっても、「007」のような巨大フランチャイズを引き継ぐことは、才能とはまた別種のスキルと心得が必要な責務だったようだ。

ボイル監督が本作の監督を辞退した理由は、監督が劇中で「ボンドを殺す」という過激な内容を提案し、製作側がそれに賛同しなかったからではないかという噂も浮上した。しかし具体的にどの点が、「意見の相違」につながったのかは明らかではない。当初ボイル監督は『トレインスポッティング』や『ザ・ビーチ』(00)などで長年タッグを組んできた、脚本家のジョン・ホッジと『Bond 25(仮題)』の台本を共同執筆していた。しかし、製作側はボイル監督に、脚本はボンド映画を数多く手がけてきた、ニール・パーヴィスとロバート・ウェイドと共に手掛けるようプレッシャーをかけたのではないかと米複数メディアが報じている。ボイル監督が本作を辞退した後、後を継ぐ監督として抜擢されたのは、日系米国人のキャリー・フクナガ監督だ。そして脚本は、ボイル監督のものとは異なる新しい内容で進められることが決まった。

ボイル監督は米「Empire」とのインタビューで「ジョンと僕が取り組んでいた脚本はすごくいい出来になると思っていた。まだ未完成ではあったものの、いい作品になる可能性があると感じていた。チームともすばらしい共同作業ができていたが、(製作側とは)意見が異なったんだ。だから辞退することにした。僕らが取り組んでいた内容は、キャリー(・フクナガ監督)の作品の内容を知らないから言えないけれど、彼からはとても親切なメッセージをもらったよ。僕からも彼に応援のメッセージを送った。でもやっぱり残念だね」とコメントしている。

キャリー・フクナガ監督は、日系の父とスウェーデン系の母を持つ注目の若手監督で、今までにHBOのテレビドラマ「トゥルー・ディテクティブ」のシーズン1や、映画『ジェーン・エア』(11)、Netflixの『ビースト・オブ・ノー・ネーション』(15)を手がけたことで知られる。また、『Bond 25(仮題)』には、ダニエル・クレイグに加えて『ボヘミアン・ラプソディ』(18)のラミ・マレックや、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ロリー・キニア、レア・セドゥ、ベン・ウィショー、ジェフリー・ライトらが出演する。

フクナガ監督がメガホンを握り、再スタートを切った本作は今年、英国とジャマイカで撮影が進められていた。ところが5月に主演のクレイグがジャマイカで走るシーンの撮影中に足を滑らせて、手術に至るほどの怪我を足首に負ったと報じられた。

監督交代や主演俳優の予期せぬ怪我で、映画の制作スケジュールがますます遅れ、公開の日程も先送りになるのではないかという懸念の声もあるが、6月15日に「007」のオフィシャルインスタグラムで、クレイグが足にギプスのような固定具をつけてジムで身体トレーニングに励む様子が公開された。イヴ役で本作に出演する女優ナオミ・ハリスも、Entertainment Weeklyとのインタビューで「もう撮影は再開しているはずよ。だから彼(クレイグ)も復帰していて、きっと大丈夫だと思うわ」「彼はとてもタフで強かな男性なだから、たとえ辛くても必ず予定通り映画が完成するように、きっとやり抜くはずよ」とコメントしている。ハリスが証言するように、本作の北米公開は現時点では変わらず2020年の4月8日を予定している。

LA在住/小池かおる

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