60年の役者人生に幕!…名優ロバート・レッドフォードの功績をいまこそ振り返る
60年近くにわたって俳優として活躍してきたロバート・レッドフォードが、ついにその役者人生に区切りをつける引退作『さらば愛しきアウトロー』が公開中。そこで今回は、彼のこれまでの功績を振り返っておきたい。
1936年生まれ、現在82歳のレッドフォードは、59年にブロードウェイの舞台に立ち役者としてデビュー。その後、62年に『戦争の追跡』で映画初出演を果たす。その後は端役の下積生活が続くものの、伝説のガンマン“サンダンス・キッド”を演じた69年の『明日に向かって撃て!』が大ヒットし一躍ブレイク。ハンサムなルックスと知的な雰囲気を漂わせた佇まいで、特に70年代は『明日に向かって撃て!』のジョージ・ロイ・ヒル監督&ポール・ニューマンと再びタッグを組んだ『スティング』(73)や、シドニー・ポラック監督の『追憶』(73)、『コンドル』(75)など数々のヒット作を連発している。
そんなレッドフォードだが、俳優としてだけでなく、監督やプロデューサーとしても積極的に映画に携わっており、初監督作でいきなりアカデミー賞監督賞を受賞した『普通の人々』(80)や、『クイズ・ショウ』(94)などの名作を手掛けてきた。また若手映画人を世に送り出すことを目的とし、ケヴィン・スミス、ロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノら、今をときめく有名監督を多数輩出してきたインディペンデント映画の祭典「サンダンス映画祭」を始めたのもレッドフォードであり、映画界に多大な影響を与えてきた大スターなのだ。
そして彼の最新作であり最終作で、主演兼製作としても参加している『さらば愛しきアウトロー』は、16回の脱獄と銀行強盗を繰り返した実在の伝説的なアウトローをモデルに描いたクライムドラマだ。1980年代初頭のアメリカ、74歳の銀行強盗フォレスト・タッカー(レッドフォード)は、銃をちらつかせるだけで、誰一人傷つけずに、目的を達成していく。支店長や窓口係が口をそろえて「紳士的だった」と語るこの奇妙な事件を担当することになった刑事のジョン(ケイシー・アフレック)も、彼を追ううちにその生き様に次第に魅了されていき…。
60年に及ぶ役者人生の中で慣れ親しんだ“銀行強盗”や“脱獄”を題材にした本作で、アウトロー役の経験豊富な彼だからこそ出せるチャーミングで色気を感じさせる演技を見せ、存在感を発揮しているレッドフォード。また監督には『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』(17)が、サンダンス映画祭で観客賞にノミネートされ、一躍脚光を集めている新鋭のデヴィッド・ロウリーを起用しており、まさに俳優としても作り手としても、彼の集大成と言える作品となっているのだ。
彼の映画への多大なる功績を称える意味でも、ぜひロバート・レッドフォードが本作で見せる最後の勇姿をスクリーンで目に焼き付けてほしい!
文/トライワークス