窪田正孝が「東京喰種」で感じたシリーズもののやりがいと葛藤|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
窪田正孝が「東京喰種」で感じたシリーズもののやりがいと葛藤

インタビュー

窪田正孝が「東京喰種」で感じたシリーズもののやりがいと葛藤

『東京喰種 トーキョーグール【S】』の窪田正孝を直撃
『東京喰種 トーキョーグール【S】』の窪田正孝を直撃

主演ドラマ「ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜」が高視聴率をマークし、令和も絶好調の窪田正孝。最新主演映画は、石田スイの人気コミックを映画化した『東京喰種 トーキョーグール』(17)に、新たなスタッフ、キャストを迎えた続編『東京喰種 トーキョーグール【S】』(公開中)だ。昨年30歳という節目を迎えた窪田は、いまや押しも押されもせぬ売れっ子俳優となったが、本人は意外にも「俳優としてどうやったら生き残れるか?」と常に自問自答しているという。そんな窪田の、役者としてのいまに迫る。

不慮の事故で、人を喰らわないと生きられない喰種(グール)と人間のハーフ(半喰種)になってしまった金木研(窪田正孝)
不慮の事故で、人を喰らわないと生きられない喰種(グール)と人間のハーフ(半喰種)になってしまった金木研(窪田正孝)[c]2019「東京喰種【S】」製作委員会 [c]石田スイ/集英社

窪田が1作目の『東京喰種 トーキョーグール』から続投したのは、不慮の事故に遭い、人を喰らわないと生きられない喰種(グール)と人間のハーフ【半喰種】になってしまった金木研役。今回彼の前に、「美食家(グルメ)」と呼ばれる史上最悪の喰種、月山習(松田翔太)が現れる。

「松田翔太さんは日本人にない感覚を持っている方」

共演の松田翔太を心からリスペクトする
共演の松田翔太を心からリスペクトする

前作の萩原健太郎監督から監督のバトンを受け取ったのは、川崎拓也、平牧和彦の2人で、ヒロインの霧嶋薫香役も山本舞香にバトンタッチした。全員が「やるからには1作目を超えたい」という想いで臨んだという窪田。

「1作目を引き継ぐなか、監督やスタッフ、キャストが変わったことで、ある意味、1作目に固執しないというか、違う場所に来たという気がしました。もちろん、まったく別物の感じがしつつも、前作のテーマはちゃんと受け継いでいます」。

カネキは今回、半喰種になったことを受け入れつつ、人間と喰種の共存のために闘っていくが「1作目では、自分が喰種に乗っ取られていく感覚があったけれど、今回はちゃんと喰種の自分を受け入れられた気がします」と、カネキを演じた窪田の心情がリンクしていったという。

【写真を見る】窪田正孝と松田翔太の息を呑むような共演シーン
【写真を見る】窪田正孝と松田翔太の息を呑むような共演シーン[c]2019「東京喰種【S】」製作委員会 [c]石田スイ/集英社

また、本作の現場で「とても大きい存在だった」と語るのが、宿敵である月山習役の松田翔太だ。留学経験が豊富でバイリンガルの松田について窪田は「日本人にない感覚を持っている方」と表現する。「台本の読み方が違うというか、日本人の心を持っていながら、それ以上になにか漏れでているものがあるんです。それは、翔太さんがこれまで生きてきた経験や、ご家族のことはもちろん、自分から海外へ行って、新しいことに挑戦しようとした情熱なのかなと。そういう野心を持っている翔太さんに、すごく魅力を感じました」。

カネキたちの前に美食家(グルメ)と呼ばれる史上最悪の喰種、月山習(松田翔太)が現れる
カネキたちの前に美食家(グルメ)と呼ばれる史上最悪の喰種、月山習(松田翔太)が現れる[c]2019「東京喰種【S】」製作委員会 [c]石田スイ/集英社

カネキに対して異様に執着心を持つ月山。松田は怪しくも妖艶なオーラを発しながら、すさまじい攻撃力でカネキを襲っていく。「今回は月山が軸となって物語が進むので、軸である翔太さんが暴れてくれると、どんどん波紋が広がっていきました。役者は通常、できればゼロから全部を発信したいけど、原作がある作品だとそれが60%くらいからのスタートとなります。そこから現実的に動くと自分では30%くらいを構築していくしかない。でも、翔太さんは1回自分のなかにすべてを取り込んで吸収してから『現実に動くとこうなる』というものを提示されるので、その切替えがすごいんです。月山のリアルさが実に不気味で、すごく説得力がある映像になったなというのが僕の感想です」。

「もっと新しいことをやりたいという気持ちとずっと葛藤してきました」

昨年30歳という節目を迎えた窪田正孝
昨年30歳という節目を迎えた窪田正孝

これまでいくつものシリーズ作品に関わってきた窪田は、その難しさも年々感じているそうだ。「例えば、自分が全部出してやりきったと思ったのに、シリーズがその後も続くとなると、惰性でしかなくなっていくのではないかと思ったりもする。でも、それを求められるのが僕たち俳優の仕事でもあるし、それはいま、自分が本当に充実した環境に身を置けているからこその悩みでもあります。もちろんシリーズを続けられることって、本当はうれしいことだけど、肉体的にはきついし、もっと新しいことをやりたいという気持ちとずっと葛藤してきました」。

引く手あまたになればなるほど、時間とのせめぎ合いが起き、また、キャリアを積むほど、いろいろな角度から現場を見られるようになるが、逆にスタッフサイドのことを考えて動く癖もつき、そこがネックになることもあるそうだ。

「時間がないなか、どんどん撮って行かなきゃいけないという環境に慣れてくると、どこか流れ作業となってしまいそうになります。例えば、このシーンは自分が広めに動いたほうが、あとで編集しやすいだろうなとか、そういう物理的なことにも気づくようになってしまう。できればそういう考えはすべて排除したいけど、ある種、職業病的な部分もあると思うんです」。

主演ドラマ「ラジエーションハウス〜」も高視聴率をマークした窪田正孝
主演ドラマ「ラジエーションハウス〜」も高視聴率をマークした窪田正孝

だからこそ、もっと作品をよくしたいという向上心が一番必要とされる。「1作目をやれたことはすごく良かったし、そこで得た反省点を、本作だけではなく、違う現場でも活かしていきたいとは、いつも思っています。そういう意味では全部つながっていますね。1作目はいろいろ大変でしたが、それを乗り越えたからこそいまがある。1つのことを置き去りにし、目を背けて違うことをやっても、結局また元に戻ることになったりするので、できれば1つ1つをちゃんと完結させていきたいです。それは主演であろうがなかろうが、どの立ち位置でも言えることです」。

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