艶やかで渋く、美しき男たち…『人間失格』で蜷川実花ワールドがさらに進化!<写真13点>
『Diner/ダイナー』(公開中)の蜷川実花監督が構想に7年を費やし、今年で生誕110年を迎える文豪・太宰治の名作「人間失格」の誕生に隠されたスキャンダラスな恋と人生を描きだす『人間失格 太宰治と3人の女たち』が9月13日(金)から公開される。現在公開されている場面写真から、豪華俳優陣が織りなす本作の魅力を紐解いていきたい。
本作は太宰自身と彼を愛した3人の女たちの目線から、事実をもとにしたフィクションとして、小説よりも遥かにドラマティックだった「人間失格」誕生秘話に迫っていく。身重の妻とふたりの子どもがいながら恋の噂が絶えず、自殺未遂を繰り返す太宰治は、破天荒な生き方で文壇から疎まれている一方で、時のスターとなっていた。そんななか、ふたりの愛人に救いを求める太宰は自分にしか書けない物語に取りかかることに…。
場面写真には、小栗旬演じる太宰治が降りしきる雪のなか、虚ろな表情でたたずむ姿をはじめ、彼が宮沢りえ演じる正妻の美知子と子どもたちに囲まれている姿など俳優陣それぞれの印象的なシーンが切り取られている。さらに沢尻エリカ演じる作家志望の静子や、二階堂ふみ演じる“最後の女”である富栄といった艶やかな2人の愛人と太宰が甘い雰囲気を醸しだしているスキャンダラスなシーンも。
また、太宰と女たちを取り巻く蠱惑的で渋い男たちの姿からも目が離せない。成田凌が演じる老舗出版社の若手編集者の佐倉純一や、千葉雄大が演じる太宰の弟子で静子の弟である太田薫。瀬戸康史演じる気鋭作家の伊馬春部に、高良健吾が演じる若き日の三島由紀夫。彼らが力強い眼差しを見せるなか、『Diner/ダイナー』でも蜷川監督とタッグを組んでいる藤原竜也が演じる無頼派を代表する作家、坂口安吾が「地獄に堕ちて書いてるか?」と発破をかけながら太宰に詰め寄っていく。
これまで『さくらん』(07)や『ヘルタースケルター』(12)など色彩艶やかでビビッドな世界観を生みだしてきた蜷川監督。その才気を感じさせながらも、これまでとは一味違う耽美的な雰囲気もただよっている本作。さらに美しく進化を遂げた“蜷川実花ワールド”のなかで、日本を代表する俳優たちがどんな熱演を見せてくれているのか。期待は高まるばかりだ!
文/久保田 和馬