【今週の☆☆☆】頭脳バトル・エンタメ『アルキメデスの大戦』や筒井真理子の役者力に圧倒される『よこがお』など週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、7月26日(金)から今週末の公開作品をピックアップ。隣人トラブルを描く北欧発のサスペンス・ドラマ、人気コミックが原作の歴史エンタテインメント、看護師の日常が崩れていく不条理サスペンスなど、バラエティあふれる作品ばかり!
あらゆる観客の想像を超えるであろう“衝撃”のクライマックスが待ち受ける『隣の影』(7月27日公開)
北欧の島国アイスランドから届いた本作は、日本でもしばしばニュースなどで報じられる“隣人トラブル”を題材にしたサスペンス・ドラマ。閑静な住宅地の庭に立つ1本の木が、隣家のポーチの日差しをさえぎっていることを発端に、二つの家族の対立がとめどもなく激化していく様を映しだす。小さな不満やエゴが積み重なり、不寛容な怒りや憎しみをエスカレートさせる登場人物たちの姿を冷めた視点で見つめたブラックユーモア、ペットの犬や猫までも騒動に巻き込まれていく意外なストーリー展開。その果てには、あらゆる観客の想像を超えるであろう“衝撃”のクライマックスが待ち受け、ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン監督の巧妙な語り口にぐいぐい引き込まれる一作だ。(映画ライター・高橋諭治)
戦争映画の設定を借りた、頭脳バトル・エンターテインメント『アルキメデスの大戦』(7月26日公開)
「戦争映画はちょっと苦手だから」といって見逃したらもったいない!『永遠の0』(13)の山崎貴監督が菅田将暉を主演に迎え、同名人気コミックを映画化した本作は、戦争映画の設定を借りた、最高におもしろい頭脳バトル・エンターテインメントだからだ。若き天才数学者に扮した菅田が、淀みのない数式と頭脳で大物軍人たちを次々に論破し、戦艦大和建造を阻止しようとする姿が痛快!けれど、未来を生きている私たちは知っている。大和がそれでも建造され、悲劇的な最期を遂げたことを。その歴史的事実は変えられない。では、一体何があったのか!?その驚愕の仮説を体現する、菅田と大和設計者の造船中将役に扮した田中泯とのクライマックスのバトルに息をのむ。(映画ライター・イソガイマサト)
女優・筒井真理子の役者力に圧倒される『よこがお』(7月26日公開)
カンヌ受賞の怪作『淵に立つ』(16)に続いて深田晃司監督と組んだ、女優・筒井真理子の役者力に圧倒される。物語は筒井演じる在宅看護師・市子の平凡で平穏な生活が、思いがけない不幸な事件で崩れていく様を映しだす。市子自身は悪くないはずなのに、世間から激しく糾弾され、築き上げてきたものを失ってしまう。市子は平均よりほんの少し善良な女性で、それがある瞬間に少しキレる。この「少しキレる」という匙加減が絶妙で、日常の壊れやすさ、不安定ゆえの恐さみたいなものが、彼女のわずかな表情の違いから感じ取れるのだ。ほんの少しのボタンの掛け違いで人生は壊れ、それでも続いていく。なんとも皮肉なリアルをほぼ出ずっぱりで体現してみせた役者の凄みを、どうかお見逃しなく。(映画ライター・村山章)
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週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス