久石譲の一言で“シナリオ書き直し”!?レベルファイブ日野代表が語る『二ノ国』制作秘話
「レイトン」シリーズや「妖怪ウォッチ」シリーズで知られるゲームソフト開発・販売会社、レベルファイブ。同社がスタジオジブリの協力を得て制作した人気作「二ノ国」の世界観を基にアニメーション化した映画『二ノ国』が8月23日(金)に公開される。本作の製作総指揮・原案・脚本を務めたのが、レベルファイブ代表の日野晃博だ。作品を最も理解している日野に劇場版制作にいたったプロセスやスタジオジブリからの影響、本作にかける思いを語ってもらった。
「ジブリのクオリティを映画でつくるのはそう簡単なことではない」
原作ゲームは2010年に第1作「二ノ国 漆黒の魔導士」が発売され、続編も作られた人気作。現実世界“一ノ国(いちのくに)”と、並行した魔法世界“二ノ国(にのくに)”を行き来しながらストーリーを進めていくゲームシステムが特徴だ。作中に流れるアニメーションパートはスタジオジブリによる制作で、『もののけ姫』(97)や『千と千尋の神隠し』(02)などジブリ作品に欠かせない作曲家の久石譲が劇伴を手掛けるという豪華さ。当初から映画化は視野に入れていたのだろうか。
「スタジオジブリさんと一緒にモノをつくるとなると、やはり『ゲームだけでなく映画も』という思いはありました。とはいえ、ジブリのクオリティを映画でつくるのはそう簡単なことではないですし、映画化が実現するとは正直思いませんでした。ですが、配給のワーナー・ブラザースさんから『二ノ国はとてもいい作品だし、絶対に映画にしてほしい』と強くお誘いをいただいて…。その声を受けて、動き始めたような感じでしたね」
制作が具体性を帯びたのは2017年頃。プロジェクトがスタートし、日野は製作総指揮のほか脚本も担当したが、シナリオ完成間近のところから全てを書き直したというエピソードが飛び出した。
「最初はミステリー仕立てで、ある事件の犯人を捜すところから、国家をゆるがす壮大な陰謀が暴かれて……という筋書きで、これもなかなかいい出来でした。ところが、それを久石さんに見ていただくと一言、『二ノ国のおもしろさって、一ノ国と行ったり来たりするところだったよね?』と言われて。つまり、単純にファンタジー世界のミステリーとして作ってしまっていいのか、という疑問が飛び出したんです。それで、『おもしろければ、一ノ国という存在を無視していいのか、それで二ノ国だと言えるのか』というところに気づかされました」そこから急いで脚本を書き直し、現在のストーリーが出来上がったのだという。